時評(2月14日)

通常国会は2020年度予算案に関する衆院予算委員会の基本的質疑が終了、与党は予算案の月内衆院通過を目指して審議時間の積み上げを図っている。 与野党には新型コロナウイルスという国民の生命に関わる課題にどう対処するのかなど、真摯(しんし)な議論.....
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 通常国会は2020年度予算案に関する衆院予算委員会の基本的質疑が終了、与党は予算案の月内衆院通過を目指して審議時間の積み上げを図っている。[br] 与野党には新型コロナウイルスという国民の生命に関わる課題にどう対処するのかなど、真摯(しんし)な議論が求められている。だが、現状は相変わらず首相主催の「桜を見る会」を巡る安倍晋三首相ら政府側と野党との非難の応酬が目立ち、生産的な審議が行われているとは言い難い。[br] 最大の責任が、国会召集前に「さまざまな批判を謙虚に受け止め、丁寧に対応していく」と約束していたはずの首相にあることは明らかだ。[br] 桜を見る会に関する野党の質問に対して「延々とこういうやりとりを大切な予算委でやらなければいけないのは恐縮だ。重大な問題がたくさんあるにもかかわらず…」などといら立ちをあらわにする。揚げ句の果てには野党議員に対して「意味のない質問だ」とやじを飛ばすありさま。[br] 首相は「盟友」のトランプ米大統領を見習っているのだろうか。トランプ氏は異を唱える者に対しては与野党を問わず、口汚くののしって憂さ晴らしする。これに対して野党の下院議長も大統領が議会で一般教書演説を終えた直後に、手にしていた原稿を破った。世界のリーダーを自任してきた米国の何とも情けない今の姿だ。[br] 日本の政治状況をみても、国会の権威と品位はどこへ行ったのかと嘆きたくなる。このままでは国民の政治不信が加速するばかりだろう。政治に対する信頼を回復させるには何が必要なのか。まずは首相が桜を見る会に関するごまかしと開き直りの答弁を改める必要がある。[br] 次々と新たな疑惑が浮上しており、首相をはじめ政府側が過去の過ちを率直に認めることから始めなければならない。その上で数々の疑惑の解明に自ら取り組むことが最低限の責任だ。[br] 一方の野党側も反省が必要だろう。政府、与党に疑惑や不祥事があれば、厳しく追及するのが野党の役割であることは言うまでもない。だが、それだけでは単に政権のイメージダウンを狙ってのあら探しに終わってしまう。立憲民主党など野党各党の支持率が一向に上昇しないのもそのためではないか。[br] コロナウイルスについても、政府の対応を「後手に回っている」と批判するだけでなく具体的な措置を提案していくべきだ。政策提言を含め骨太の論戦を挑むことが国会の権威回復には不可欠だ。