青森県勢20年ぶり初戦突破

▽2回戦 石  川 100 000 000―1 弘 前 工 001 040 00×―5 (石)山城長、伊波修―伊波直 (弘)斎藤健―福士 ▽三塁打 後藤▽二塁打 村吉、後藤▽犠打 石1(伊波修)弘5(角田2、角南、奈良、平間)▽盗塁 石0弘.....
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▽2回戦 石  川 100 000 000―1 弘 前 工 001 040 00×―5 (石)山城長、伊波修―伊波直 (弘)斎藤健―福士 ▽三塁打 後藤▽二塁打 村吉、後藤▽犠打 石1(伊波修)弘5(角田2、角南、奈良、平間)▽盗塁 石0弘0 ▽失策 石2(村吉、後藤)弘1(平間)▽捕逸 福士 【評】 弘前工が同点で迎えた五回裏、一死一塁から4連打と2敵失で一挙4点を奪い逆転。守ってはエース斎藤健が気迫のピッチングで石川打線を抑え込み、5―1で快勝した。  先制された弘前工は三回裏、中前打の出町を角田が手堅く送って一死二塁とし、福士の左前打、斎藤健の中前打で同点に追いつき、試合を振り出しに戻した。  五回裏には、一死から福士が粘って2-3のカウントから四球を選んで出塁。三番斎藤健はつまりながらも力強く振り切って左前へはじき返し、一死一、二塁と逆転機を迎えた。四番角南は三遊間をきれいに抜いて、一死満塁と石川のエース山城長を揺さぶった。五番奈良は期待にこたえてアウトコースの高めをたたきつけ、中前へ逆転の2点タイムリー。続く六番大湯も左前打、角南が生還し4―1と差を広げた。さらにラッキーな敵失がここで飛び出した。左翼手比嘉からの送球をカットした上運天三塁手が、大湯が二塁を狙ったのを見て送球したが、悪投となり一気に三塁へ。これをカバーしt村吉中堅手の三塁送球も大きくそれ、大湯は労せずして本塁を踏んだ。  石川は初回、根路銘の中前打、村吉の左中間二塁打で先制したものの、二回の二死一、二塁、三回の一死三塁、五回の二死二塁の好機に、弘前工のエース斎藤健の攻めのピッチングに力負けしたのが最後まで響いた。 ピンチにも動ぜず粘投 強気の斎藤健、打でも大活躍  「全国に挑む」の弘前工の目標がついにかなった。県民も二十年間待っていた初戦突破だ。この試合、横浜寿雄監督、ナインは「自分たちの手で県税に連敗にストップをかける」と燃えていた。試合前のベンチにはピリピリとした緊張感やりきみはまったくなく、いたってリラックスムード。二年連続出場、しかも昨年のベンチ入りが九人も残っているとの余裕がそうさせていたのだろう。  勝因は、自慢の打線の活躍もあるが、「何と言っても主将でエースの斎藤健の踏ん張り」と横浜監督は言い切った。立ち上がり、斎藤健は気負い、1点を許したが、二回、三回と得点圏に走者を置いたピンチに攻めのピッチング。インコース低めをズバリ突き、石川打線を次々と打ち取った。  「打線が好調なので必ず逆転する」と信じて闘志をむき出し。身長173センチ、体重71キロと投手としては小柄な体が、回を重ねるたびに大きくダイナミックに動く。体全体に「沖縄県勢、何するものぞ」の気迫がほとばしり、ミート打法を身上とする石川打線のリズムを狂わせ、精神面のあせりを誘った。  お立ち台で斎藤健主将は「石川の打線はコツコツ当ててきたが、怖くなかった。五回に4点が入った後、石川打線があせっているのが分かった。でも最後まで勝てるとは考えず、公判はカーブ主体で攻めた。沖縄県勢に勝ててうれしい」と、強気にして無欲でつかんだ青森県勢二十年目の初戦突破と弘前工初勝利を喜んだ。そして「日本一になったような気分。おの太田幸司さん以来の勝利投手になれて最高の気分」と童顔がさらに明るさを増した。  同点打、逆転に結びついたバッティングについては「百点満点。同点のヒットは狙っていたインコースをジャストミートした会心の当たり」と胸を張った。  しかし「ピッチングは速球が高めに浮いていたので八十点。3回戦では低めを突きます」と反省。「こうなったらベスト8まで進みたい」とキッパリ。横浜監督は「先取点は気にならなかった。守備の乱れで取られたわけではないから。『(甲子園へ)出るだけなら行くな』と言われて来たので今はホッとしている。生徒たちが『試合をしに来たのだ』という意識を持ち続けてくれたのがうれしい。校歌はいいセリフだなと思いました。次も精いっぱいやるだけ。欲はありません」と淡々と勝利の味をかみしめていた。 [right]1989年 全国高校野球選手権大会2回戦 弘前工 VS 石川(沖縄)[/right]