社員のコロナ感染隠さず信用維持 岡山の企業、経験交え提言

 空気清浄機などを設置して再開した「エヌティ・クリエイト」の職業訓練講座=4月、岡山市
 空気清浄機などを設置して再開した「エヌティ・クリエイト」の職業訓練講座=4月、岡山市
岡山県が新型コロナウイルスの緊急事態宣言の追加対象となった。同県のある中小企業は、社員の感染判明後、取引先などから相次いだ問い合わせに感染経緯や社員の氏名を隠さず説明したことで信用を維持できた経験を持つ。社長は「不安や不信感を広げないよう、.....
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 岡山県が新型コロナウイルスの緊急事態宣言の追加対象となった。同県のある中小企業は、社員の感染判明後、取引先などから相次いだ問い合わせに感染経緯や社員の氏名を隠さず説明したことで信用を維持できた経験を持つ。社長は「不安や不信感を広げないよう、事実を伝えることが重要」と提言する。[br][br] この企業は、職業訓練事業などを展開する岡山県倉敷市の「エヌティ・クリエイト」。昨年11月、男性社員が勤務中に不調を訴え、PCR検査で新型コロナ陽性となった。会食を避けていたといい、感染経路は分かっていない。後に同僚の女性社員も感染が判明した。[br][br] この男性社員が担当する職業訓練講座の受講生や別の同僚ら計19人は、濃厚接触者と認定された。いずれも検査結果は陰性だったものの、同社は約半月間、営業休止を余儀なくされた。[br][br] 受講生の親族や同社の取引相手からは「どうして感染したのか」「御社の生徒は、本当に大丈夫なのか」などの問い合わせが殺到した。[br][br] 西田和英社長は、同様の事態に陥った友人の経営者らの体験談も参考に「感染拡大の防止が第一」と判断。詳細な情報開示に努めた。[br]広報資料では氏名の記載を伏せたが、取引先などからの問い合わせを受けた場合は、感染者の同意を得て伝えた。換気や消毒などの対策も社内で徹底。講座を開く教室では、空気清浄機や飛沫(ひまつ)の拡散を防ぐ仕切りを整備した。[br][br] その結果、相手方から「安心できた」と評価され、事業への悪影響も抑えられたという。[br][br] 「リスクを極力避け、社内外に必要な情報を伝えるのが大事。社員へのこうした意識付けは、規模の大きくない企業ほど徹底しやすいはず」と、西田社長は力を込めた。 空気清浄機などを設置して再開した「エヌティ・クリエイト」の職業訓練講座=4月、岡山市