【株安と企業決算】市場急落、強まる不透明感 コロナ後見据え転換急務

 オンラインで記者会見するスズキの鈴木俊宏社長=13日午後
 オンラインで記者会見するスズキの鈴木俊宏社長=13日午後
米国のインフレ懸念に端を発した株価急落は東京市場で3日連続にも及び、新型コロナウイルス対策に支えられた経済の不安定さを浮き彫りにした。2021年3月期決算の発表がヤマ場を迎えた上場企業は、コロナで苦境が長引く業種と、巣ごもり消費などの追い風.....
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 米国のインフレ懸念に端を発した株価急落は東京市場で3日連続にも及び、新型コロナウイルス対策に支えられた経済の不安定さを浮き彫りにした。2021年3月期決算の発表がヤマ場を迎えた上場企業は、コロナで苦境が長引く業種と、巣ごもり消費などの追い風を受けた企業で明暗が分かれ、コロナ後を見据えた事業転換や競争力強化を模索する。[br][br] ▽変 調[br] 米経済の持ち直しに伴う物価上昇を受け、コロナ対策の金融緩和が早期縮小に向かうとの観測が浮上。日経平均株価(225種)は13日までの3日間で2000円超も急落した。各国政府・中央銀行の巨額財政出動と緩和マネーを支えに上昇を続けてきた金融市場の変調で、世界経済の先行きには不透明感が漂う。[br][br] 変異株の影響が拡大している日本は米英に比べてワクチン接種の遅れが顕著で、市場関係者は「国内経済の本格回復は22年に入ってからになるだろう」と指摘する。[br][br] ▽トンネル[br] 「創業以来これまでにない厳しい経営環境だ」(KNT―CTホールディングスの米田昭正社長)、「コロナのトンネルは抜けていない」(ANAホールディングスの片野坂真哉社長)。新型コロナによる観光・旅客需要の激減が業績を直撃した企業トップは、決算発表の記者会見で長期戦の構えを口にした。[br][br] 感染対策で人の移動が制限されたJR東海などは巨額赤字に沈み、休業や時短営業を強いられた百貨店はインターネット通販にも押され苦境が鮮明だ。[br][br] ▽正念場[br] 一方で、家庭用ゲーム機などの販売が伸びた任天堂は純利益が過去最高を記録。投資ファンド事業が好調だったソフトバンクグループも5兆円に迫る純利益を計上し、国内企業の歴代最高を更新した。巣ごもり需要やデジタル化の加速を追い風にした。[br][br] 生産の一時停止などに追い込まれた自動車業界では、米中の需要回復を受けたトヨタ自動車が純利益で2兆円超を確保した。近健太最高財務責任者(CFO)は22年3月期が「コロナ下での改善を定着させる正念場だ」を気を引き締める。[br][br] 13日にオンラインで記者会見したスズキの鈴木俊宏社長は、主力のインド市場での感染深刻化を踏まえ「明確に生産計画がこうとは言えない」と業績予想の公表を見送った。[br][br] 国内外で電気自動車(EV)時代を見据えた主導権争いが始まるなどしており、各社はライバルの動きを横目に見ながらコロナ後の難しい経営のかじ取りを迫られる。 オンラインで記者会見するスズキの鈴木俊宏社長=13日午後