厳しい経営環境にある地銀に、政府は「基盤強化が必要」として経営改革を迫り、再編を促してきた。青森、みちのく両銀行に経営統合協議入りが浮上した昨年9月以降も再編を促す支援策が次々と打ち出され、圧力は強まる一方だった。単独経営の道を模索していた両行だが、中央主導で外堀は埋められていた。[br][br] 地銀再編には、菅義偉首相の意向が働いている。就任前の官房長官のときに「地銀の数が多すぎる」との考えを表明していた。[br][br] 意をくんだ金融庁は、地銀の合併により地域で寡占状態になっても独占禁止法を適用しない特例法を創設。同法は昨年11月施行され、再編による経営強化が可能となる環境が整った。[br][br] 今夏には、経営統合や合併によるシステム統合などの費用の一部として最大30億円を補助する交付金制度が創設される。[br][br] 日銀も歩調を合わせるように、再編に取り組んだ地銀や信金を対象として、日銀の当座預金の金利を年0・1%上乗せする制度を3月から始めた。[br][br] 再編を後押しする施策が相次ぐ中、今年1月には福井県を地盤とする福井銀行が福邦銀行を子会社化する方針を発表。5月には三重県が地盤の三十三フィナンシャルグループで、傘下の三重銀行と第三銀行が合併し、三十三銀行が誕生するなどしている。[br][br] 青森、みちのく両行はこれまで経営統合に向けた協議入りを否定してきた。だが、全国で再編の流れは加速し、あらがえないほどの勢いになっていた。