八戸港所属の大中型イカ釣り船が漁期を迎えた。4月24日の大型船に続き、5月2日は中型船の第1陣が出漁。ピークの13日は13隻が同港をたつ予定だ。今季は計19隻が操業の見込み。9月までは太平洋のアカイカ漁2航海がメインになるとみられ、それ以降は来年2月まで日本海のスルメイカ漁に移る。[br][br] アカイカ漁では各船とも約1週間かけて北太平洋の公海に赴き操業する。燃油や資材などのコストがかさむ側面はあるものの、日本の船が漁場を開拓したという背景もある。長く不漁が続くスルメイカに比べ漁獲は安定しており、今では同港の水揚げを下支えする重要な魚種といっても過言ではない。[br][br] 主に加工用として流通しているアカイカだが、昨年は浜値が伸び悩んだ。新型コロナウイルス感染拡大に伴う東京五輪の延期や飲食店の休業などにより需要が減退、在庫が残り価格低下を招いたとされる。[br][br] それだけに、消費拡大は喫緊の課題といえる。今季は船によって、刺し身向けのブロック凍結や個別凍結(IQF)の製品を提供する動きもある。既に大手回転ずし店にも使われるなど、食味の良さは折り紙付き。今のところ北海道などの方が利用に積極的な感はあるものの、国内の水揚げの大半は八戸というメリットを生かし、地元で新たな市場が育成されるよう願ってやまない。[br][br] 長引く不漁を背景にハマは縮小傾向が続いている。同港所属の中型船は東日本大震災前の半数以下になった。昨季で撤退した八戸の2隻は青森県外の事業者が取得、他港所属の船として今季も運用されるものの、国内全体では水産庁の再編(減船)方針もあり年々、減り続けている。現代の漁は衛星利用測位システム(GPS)の活用はもちろん、船同士が連携して好漁場を分かち合う形態が定着しており、隻数が減ると魚群を探しにくくなる懸念もあるという。[br][br] 昨年は日本海のスルメイカ漁で、国内の排他的経済水域(EEZ)内の好漁場に中国の漁船が大挙して押し寄せ、日本船が“締め出される”事態が問題化。これら外国船の乱獲は不漁の大きな要因と指摘されている。[br][br] 太平洋のアカイカ漁でも、近年は中国船や韓国船などが数多く入り込んでいるという。漁場が公海とはいえ、持続可能な漁獲を維持するためには、資源量が枯渇する前に手を打つ必要がある。まずは水産資源保護の国際機関である北太平洋漁業委員会(NPFC)で、操業の基準づくりを話し合うべきだ。