出会いを耕す新たな形の美術館に/八戸市新美術館・佐藤館長インタビュー

「時代に合わせて変化し続けられる美術館でありたい」と語る佐藤慎也館長=八戸市美術館のジャイアントルーム
「時代に合わせて変化し続けられる美術館でありたい」と語る佐藤慎也館長=八戸市美術館のジャイアントルーム
アートによるまちづくりの中核施設として、11月に開館を控える八戸市美術館。収蔵品を展示るだけにとどまらず、市民やアーティストが集い、自由に活動することで地域の可能性を引き出す「学びの拠点」としての役割を軸に、今までにない形の美術館を目指す。.....
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 アートによるまちづくりの中核施設として、11月に開館を控える八戸市美術館。収蔵品を展示るだけにとどまらず、市民やアーティストが集い、自由に活動することで地域の可能性を引き出す「学びの拠点」としての役割を軸に、今までにない形の美術館を目指す。佐藤慎也館長は「これからは可変性が求められる。時代時代で変化、進化し続けられる美術館でありたい」と思いを語る。[br][br] 新美術館は、市民とアーティスト、美術館スタッフなど、異なる立場の人々が共に考え、作り、相互に学ぶことで生まれる体験や経験を“耕しながら”、事業を発展させる「出会いと学びのアートファーム」をコンセプトに掲げる。[br][br] プロジェクト型の活動を展開する美術館は多いが、前面に押し出す例は国内でも珍しい。市は「アートのまちづくり」を掲げ、はっち、八戸ブックセンター、マチニワを中心街に整備する中で、収蔵品展示をメーンとしてきた美術館の新たな在り方を模索。一方的に発信するのではなく、近隣施設のそれぞれの機能と連携しつつ、社会との関わりを重視した運営形態に生まれ変わろうとしている。[br][br] 佐藤館長は、美術館側が仕掛けながら、集まる人々が自発的に考えた「もの」や「こと」が持続的に展開される地域のアートシーンの未来像を思い描く。「学びを核とすることで、まちや人と共に成長できる美術館となる」と強調する。[br][br] 建築面では、人々が活動する巨大空間「ジャイアントルーム」を核に、それを取り囲むように展示室やスタジオが配置されている。ジャイアントルームは活動過程が可視化されており、「何かしら起きているのを見られるのもコレクションの一つ」と指摘する。[br][br] 一方、4種類の個室群は収蔵品だけでなく演劇・ダンスなどのパフォーミングアーツ、映像作品、市民制作などを発表する場として想定。日大理工学部建築学科教授を務め、芸術文化施設を中心とした建築計画・設計を研究する佐藤館長は、「専門知識を生かし、一番良い状態の美術館の使い方を提供したい」と話す。[br][br] 可動の展示ケース壁を動かして自由にレイアウトできるのが特徴で、新型コロナウイルスの社会的状況に合わせ、密にならないよう構造的な対策もできる。[br][br] 「社会や美術に対して柔軟に変化し、常に目指すゴールが引き延ばされる、そんな美術館でありたい」。どのような美術館の新しい在り方を提示し、地域のアートシーンに刺激を与えていくのか―。大きな役割を担い、半年後に開館を迎える。「時代に合わせて変化し続けられる美術館でありたい」と語る佐藤慎也館長=八戸市美術館のジャイアントルーム