新型コロナウイルスに対し、都道府県の中で最もうまく対応したのは鳥取県―。慶応大の浜岡豊教授(応用統計学)が海外の国際比較ランキングを参考にランク付けしたところ、こんな結果になった。感染拡大に歯止めがかからない大阪府や東京都などの大都市は軒並み低評価となった。[br][br] 対象期間は昨年1月~今年3月。厚生労働省や総務省などの公表データから、(1)感染状況(人口当たりの累積陽性者数や死亡率など)(2)対策(陽性者当たりの検査人数、人口当たりの受け入れ確保病床数、自宅療養率)(3)市民の協力(乗換駅と居住地区の人流データ)(4)経済影響(宿泊施設の客室稼働率など)―という4分野で計10の指標を選び偏差値にして比較した。[br][br] 10指標の偏差値の平均値を総合スコアとしたところ、検査人数と病床数の指標が突出して高い鳥取県が66・1で1位となり、死亡者ゼロの島根県が57・7で2位、病床が確保できている佐賀県が55・0で3位となった。鳥取県は陽性者が少ない時期から検査数が多く、浜岡教授は「早期発見で陽性率を低く抑えられた」と分析している。[br][br] 一方、ワースト3は大阪府(41・5)、東京都(43・8)、京都府(44・5)で、人口当たりの累積陽性者数や自宅療養率が平均を下回った。いずれも4月25日に3度目の緊急事態宣言が出されている。[br][br] 青森県は49・7(26位)、岩手県は49・8(24位)だった。[br][br] 海外では、オーストラリアのシンクタンクや米ブルームバーグなどが国レベルの対応をランク付けして比較している。ただ、一部にはワクチンの調達率やロックダウン(都市封鎖)の厳しさといった指標が含まれているため、浜岡教授が国内用にアレンジした。[br][br] 浜岡教授は「大都市は早めに対策を打たなければならなかった。状況が悪化してからではなく、感染症対策の『基本の基』である検査をまずは厚くするべきだ」と話している。