B型肝炎、再発患者救済 最高裁、賠償請求権認める

 最高裁判決を受け記者会見する原告の平野裕之さん(中央)=26日午後、東京都千代田区
 最高裁判決を受け記者会見する原告の平野裕之さん(中央)=26日午後、東京都千代田区
集団予防接種での注射器使い回しが原因のB型肝炎を20年以上前に発症し、再発した患者2人が国に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(三浦守裁判長)は26日、賠償請求権が消滅する「除斥(じょせき)期間」(20年)の起算点は、発症.....
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 集団予防接種での注射器使い回しが原因のB型肝炎を20年以上前に発症し、再発した患者2人が国に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(三浦守裁判長)は26日、賠償請求権が消滅する「除斥(じょせき)期間」(20年)の起算点は、発症時ではなく再発時とすべきだとした。権利が消滅したとして原告敗訴だった二審福岡高裁判決を破棄し、損害額を算定するため審理を差し戻した。患者の救済範囲拡大につながる判断。[br][br] 4人の裁判官全員一致の意見。三浦裁判長は補足意見で「迅速かつ全体的な解決を図るため、救済に当たる国の責務が適切に果たされることを期待する」と述べた。[br][br] 全国B型肝炎訴訟弁護団によると、各地の訴訟で、除斥期間の起算点が争われている再発患者は他に111人おり、判決は今後の審理に影響を与えそうだ。[br][br] 原告はいずれも慢性肝炎患者で、福岡市の平野裕之さん(62)と福岡県の男性(68)。平野さんは1987年に発症、2007年に再発した。男性は91年に発症して04年に再発。提訴はそれぞれ08年と12年だった。[br][br] 判決は「どのような場合に再発するかは医学的に解明されておらず、最初の時点で後の発症による損害の賠償を求めるのは不可能だ」と指摘。「最初の発症とは質的に異なる損害が生じた」として再発時を起算点とし、2人の提訴時には除斥期間が経過していなかったと結論付けた。[br][br] 集団予防接種が原因のB型肝炎を巡っては、06年に最高裁が国の責任を認め、その後特別措置法が施行された。慢性肝炎の場合、裁判を起こして和解すれば国から1250万円の給付金を受け取れる仕組みになっているが、除斥期間の経過後に提訴した場合は最大300万円にとどまる。[br][br] 一審福岡地裁は17年、請求通り1250万円と弁護士費用を払うよう国に命じた。国が控訴し、福岡高裁は最初の発症時を起点に20年の除斥期間が経過しているとして請求を棄却した。 最高裁判決を受け記者会見する原告の平野裕之さん(中央)=26日午後、東京都千代田区