全米初、給油所新設禁止 加州ペタルーマ市が条例制定

 米カリフォルニア州ペタルーマ市にある電気自動車向けの充電スタンド=3月(共同)
 米カリフォルニア州ペタルーマ市にある電気自動車向けの充電スタンド=3月(共同)
米カリフォルニア州サンフランシスコ近郊にあるペタルーマ市が3月、全米で初めて給油所の新設を禁止する条例を制定した。新型コロナウイルスの流行で生活スタイルが大きく変わる中、人口約6万人の小さな市が挑む気候変動対策が脚光を浴びている。 ▽反対ほ.....
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 米カリフォルニア州サンフランシスコ近郊にあるペタルーマ市が3月、全米で初めて給油所の新設を禁止する条例を制定した。新型コロナウイルスの流行で生活スタイルが大きく変わる中、人口約6万人の小さな市が挑む気候変動対策が脚光を浴びている。[br][br] ▽反対ほぼなく[br] 条例は、温室効果ガス排出の実質ゼロ実現を目指し、電気自動車(EV)と充電スタンドの普及を促すのが狙いだ。既存の給油所の設備増強も認めない。バレット市長によると、反対の声はほぼなかったという。ただ取材に対し「規制の強化は景気の重荷になる」と不安を口にする市民もいた。[br][br] 給油所は現在16カ所あり、車で5分も走れば見つかるが、廃業などが相次げば不便が生じる可能性もある。米メディアによると、これまでに米国内の約30の市や郡が気候変動対策に関連する条例や宣言を可決したが、ペタルーマ市の規制はさらに踏み込んだ内容で、環境団体は「勇気ある行動だ」と歓迎した。[br][br] ▽EV急拡大[br] 新型コロナの流行で在宅勤務が浸透。国際エネルギー機関(IEA)は3月に公表した予測で、世界のガソリン需要がコロナ流行前の水準に回復する可能性は低いと指摘した。[br][br] 背景には、米テスラが主導するEVブームもある。各国政府は景気浮揚策の一環としてEVに補助金などをつぎ込み、自動車大手も一斉に追随。IEAによると、世界を走るEVは5年後に約6千万台に達し、2019年と比べて約8倍に急拡大する見通しだ。[br][br] ▽外交も転換[br] 気候変動問題を巡る外交も転換点を迎えた。バイデン米政権はトランプ前政権が離脱した地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に復帰し、「内政と外交の優先事項の中心」(ブリンケン国務長官)に位置付けた。脱炭素社会の実現に向けた巨額インフラ投資を検討し、各国の議論をリードしたい考えだ。[br][br] ペタルーマ市には米国内外から禁止条例の取材依頼が殺到。バレット氏は「こんなに注目されるとは思ってもみなかった」と表情をほころばせながら、「空に国境はなく、環境対策は協力して進める必要がある。他の自治体にも活動が広がるきっかけになればうれしい」と期待を込めた。(ペタルーマ、ニューヨーク共同=藤原章博、松尾聡志) 米カリフォルニア州ペタルーマ市にある電気自動車向けの充電スタンド=3月(共同)