2016、17年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)など国内約200の研究機関や企業に対するサイバー攻撃があり、使用された国内サーバーを偽名で契約した疑いが強まったとして、警視庁公安部が20日にも私電磁的記録不正作出・同供用容疑で、当時日本でシステムエンジニアをしていた中国共産党員で中国籍の30代男を書類送検する方針を固めた。捜査関係者への取材で分かった。[br][br] 捜査関係者によると、一連の攻撃は中国関連のハッカー集団「Tick(ティック)」が、中国人民解放軍の指揮下で実施していたとみられる。他国機関による日本国内への大規模サイバー攻撃が捜査で明らかになるのは異例で、軍事転用可能な技術を扱う企業などのセキュリティー再確認やサーバー契約者の身分確認厳格化などが求められそうだ。[br][br] JAXAによると、16年に不正アクセスを確認。情報漏えいや改ざんなどの被害はなかったとしている。約200機関には防衛関連企業も含まれ、被害の有無を確認している。[br][br] 党員の男は16年、サイバー攻撃に使われた国内のレンタルサーバーを5回にわたり偽名で契約した疑いが持たれている。[br][br] 党員の男の他に、中国籍の元留学生の男も偽名でサーバーを契約していた疑いがある。サーバーを使うための2人のID情報などがインターネット上でティック側に売却されていたという。2人とも既に出国している。[br][br] 警視庁がサーバー契約者の特定を進め2人が浮上。出国前の2人に事情聴取するなどして、元留学生が人民解放軍の中にあるサイバー攻撃専門部隊「61419部隊」に所属する人物から指示を受けていたことを裏付けた。部隊は山東省青島市を拠点にし、日本や韓国へのサイバー攻撃を担っているという。