青森県南町村長選で現職敗北相次ぐ 実績強調の手法、評価につながらず

新人候補に敗れた(左上から時計回りに)横浜町の野坂充氏、大間町の金澤満春氏、東通村の越善靖夫氏、東北町の蛯名鉱治氏(写真はコラージュ)
新人候補に敗れた(左上から時計回りに)横浜町の野坂充氏、大間町の金澤満春氏、東通村の越善靖夫氏、東北町の蛯名鉱治氏(写真はコラージュ)
昨年12月から今月18日までに実施された青森県南地方の四つの町村長選で、現職だった候補が相次いで敗れた。関係者は、人口減少や少子高齢化などが進行する中、閉塞(へいそく)感を打破する可能性を示した候補が選ばれたのでは―と分析。実績を主張できる.....
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 昨年12月から今月18日までに実施された青森県南地方の四つの町村長選で、現職だった候補が相次いで敗れた。関係者は、人口減少や少子高齢化などが進行する中、閉塞(へいそく)感を打破する可能性を示した候補が選ばれたのでは―と分析。実績を主張できるという現職ならではの“強み”が有権者から評価されにくくなっている実情が浮かぶ。[br][br] 昨年12月の横浜町長選。勝利した石橋勝大氏(79)と前職の野坂充氏(70)が掲げた政策に差はほとんどなかった。違いは石橋氏が「若者が政治に参加しやすい道筋をつくる」と、変化を訴えた点だ。[br][br] 4期16年間の実績をアピールした野坂氏の陣営関係者は「途中から若い人を中心に、5期目はもういいという声が多くなった」と説明。多選への批判を肌で感じたという。[br][br] 東日本大震災後、立地する原発の工事や運転がストップし、地域経済が疲弊する中で行われた1月の大間町長選と3月の東通村長選でも現職が敗れた。[br][br] 金澤満春氏(71)が5選を目指した大間町長選で、新人の野﨑尚文氏(65)を支持した町議は「町政に進展が見られなかった。『町長を一度変えてみては』という思いが広がったのだろう」と推測する。[br][br] 東通村のある村議は大間と東通の共通点について、「(建設工事などが滞り、原発の)恩恵が薄れていることも関係しているだろう」と指摘。越善靖夫氏(79)は6期の長期政権を築いていたが、「横浜町長選の後から、現職を変えてもいいんだという空気が出てきた」と、新人への追い風が吹いたと見る。[br][br] 今月18日に投開票された東北町長選では、再選を目指した現職が敗れた。現職の蛯名鉱治氏(61)は議会で少数与党を強いられ、小中学校の給食費無償化などは実現したが、町民に分かりやすい成果を挙げられなかった。[br][br] 選挙戦でも、過去の町長選で敵同士だった勢力が新人の長久保耕治氏(48)の下に結集。蛯名氏は、現町政の停滞批判を繰り広げた長久保氏の優勢を最後まで覆せなかった。[br][br] 現職が敗れた一連の結果に、自民党の県連幹部は「現職が実績を強調しても有権者には伝わりにくくなっている。町や村の将来像を提示した候補が評価されたと思う」と話した。[br][br] ある自民県議は「新型コロナウイルスで日常生活に支障が出ているため、住民の不満が表出しやすいのかもしれない」と、昨今の社会情勢が結果に影響したとの見方を示す。新人候補に敗れた(左上から時計回りに)横浜町の野坂充氏、大間町の金澤満春氏、東通村の越善靖夫氏、東北町の蛯名鉱治氏(写真はコラージュ)