車力沖米国帆船遭難事件に迫る一冊刊行 元八戸東高校長の戸川さん

チェスボロー号遭難事件に関わった人々を詳細に調べた戸川善一さん
チェスボロー号遭難事件に関わった人々を詳細に調べた戸川善一さん
元青森県立八戸東高校長の戸川善一さん(72)=青森市在住=が、1889(明治22)年10月に旧車力村(つがる市)沖で起きた米国帆船チェスボロー号遭難事件を巡る調査の成果を一冊にまとめ、『米国帆船チェスボロー号~新発見40・130年の全容に迫.....
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 元青森県立八戸東高校長の戸川善一さん(72)=青森市在住=が、1889(明治22)年10月に旧車力村(つがる市)沖で起きた米国帆船チェスボロー号遭難事件を巡る調査の成果を一冊にまとめ、『米国帆船チェスボロー号~新発見40・130年の全容に迫る』として自費出版した。戸川さんは「新しい発見も多くあった。船員を懸命に救助した村民の姿を多くの人に知ってほしい」と語る。[br][br] チェスボロー号は函館港から日本海を南下して帰国する予定だったが、荒天のため、車力沖で座礁。乗組員23人中19人が死亡した。生存者を人肌で温めるなど、村民が必死に救助に当たったことで知られる。[br][br] 戸川さんは2008年に県と米国メーン州の高校生交流事業に団長として参加した際、友好の起点となった同事件を調べ始め、教員退職後もライフワークとして研究を続けてきた。[br][br] 村民の子孫を訪ね歩くなどして、資料を収集。子孫の家に伝わる話をまとめたほか、県庁へ事件を通報した村民2人が走った約64キロのルートや、生存者が出国するまでの18日間の足取りも丹念に追っている。測候所の記録や専門家の分析から、大荒れで気温も低かった当時の気象状況も明らかにした。[br][br] 関係者の顔や生存者が滞在した家屋、メーン州に立つ船長の墓など写真や図も数多く収録し、400ページ近いボリュームになった。外国人にも事件のことを知ってもらえるよう、一部は英訳文を添えている。[br][br] 事件を取り上げた書籍は過去にもあるが、それらを補完する内容になっており、戸川さんは「調べるほど、興味が深まり、新しい発見が近づいているという感覚があった。救助に関わっても埋もれた人物もおり、光を当てたかった」と出版の意義を強調する。[br][br] 価格は税込み3300円。県南地方では八戸市の伊吉書院西店、おいらせ町のレストラン・カワヨグリーンロッヂ、七戸町の小原書店で販売中。チェスボロー号遭難事件に関わった人々を詳細に調べた戸川善一さん