子どもが夢中になる授業目指して 久保さん(八戸出身)東京学芸大付世田谷小教諭

子どもたちが夢中になれる授業の実現を目指す久保賢太郎さん=東京学芸大付属世田谷小(本人提供)
子どもたちが夢中になれる授業の実現を目指す久保賢太郎さん=東京学芸大付属世田谷小(本人提供)
子どもたちが夢中になれる授業の実現を目指す八戸市出身の男性がいる。東京学芸大付属世田谷小教諭の久保賢太郎さん(32)だ。現在は同大大学院の博士課程でスポーツ教育学などの研究に取り組む傍ら、毎日教壇に立つ。心掛けるのは「授業計画を子どもの反応.....
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 子どもたちが夢中になれる授業の実現を目指す八戸市出身の男性がいる。東京学芸大付属世田谷小教諭の久保賢太郎さん(32)だ。現在は同大大学院の博士課程でスポーツ教育学などの研究に取り組む傍ら、毎日教壇に立つ。心掛けるのは「授業計画を子どもの反応を見て柔軟に変えること」。子ども本位の授業に関する講演会開催などにも携わる。地元への恩返しのためにと、青森の地での活動にも意欲を燃やす。[br][br] 市立江南小在学中の総合的な学習の時間が今でも忘れられない。先生から与えられた「なぜ子どもの体力は低下しているのか」との問いに、学級の仲間と「家で手伝いをしなくなったから」という仮説を立てた。[br][br] 仮説を立証するため、前回東京五輪が開かれた1964年当時の家事手伝いを調べ、1カ月間実践する人としない人に分かれた。体力テストの結果にさほど差は見られなかったが、「すごく楽しかった」。板書を写すだけではない、「面白い授業をやりたい」との思いから教師を志した。[br][br] ただ、大学卒業後の東京都立の小学校教諭時代は「校長が言うことを実行すれば良い教師とされ、自分で考える余地がなかった」。[br][br] 理想の教育を実践したいと、同大付属世田谷小に転職した。「今求められている教育は管理統率や競争ではなく、児童を『面白いこと』に出合わせ、主体的な学びを引き出すこと」。教科書をなぞるのではなく、教える内容を生活と結びつけたり、ゲーム形式を取り入れたりした。[br][br] 競争意識が育たないのでは―との批判も耳にするが、「公教育では競争意識より『自分は自分でいいんだ』『今住んでいる街で幸せだ』と思える自己肯定感が醸成される方が大切だ」と熱っぽく語る。[br][br] 久保さんの試みは教育界で注目され、講演機会も増えている。3月には自身の教育論を記した「褒めるは学びの落とし穴 子どもが輝く対話のメカニズム」(東洋館出版社)を初刊行。沖縄県の会社とタイアップした離島体験交流促進事業も手掛ける。[br][br] 今後は、高校時代の同級生が八戸市で立ち上げたスケートに関する法人「スポーツアズライフ八戸」と連携し、スポーツ指導法についての動画投稿サイトでの講義も予定。[br][br] 活動の拠点は東京だが、教師を志すきっかけとなった地元に貢献できないかを模索している。久保さんは「青森県内の先生方とタッグを組んで、魅力的な授業をつくるために活動したい」と力を込めた。[br][br] 【略歴】くぼ・けんたろう 八戸市立江南小、根城中、青森県立八戸高から東京学芸大に進学。卒業後、東京都立小の教諭を経て2014年から現職。学研教育みらい小学校体育副読本「みんなの体育」編集委員などを務める。東京在住。子どもたちが夢中になれる授業の実現を目指す久保賢太郎さん=東京学芸大付属世田谷小(本人提供)