共産党以外の影響力排除 IT「包囲網」半年で構築 中国の習指導部

 中国ネット企業に対する主な取り締まり(写真はロイターなど)
 中国ネット企業に対する主な取り締まり(写真はロイターなど)
中国の習近平(しゅうきんぺい)指導部は昨年11月にインターネット大手企業への規制を強化する方針を打ち出してから、わずか半年で業界の「包囲網」を完成させた。共産党と張り合う影響力を持つ存在は許容しないという強い姿勢の表れだ。次の取り締まり対象.....
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 中国の習近平(しゅうきんぺい)指導部は昨年11月にインターネット大手企業への規制を強化する方針を打ち出してから、わずか半年で業界の「包囲網」を完成させた。共産党と張り合う影響力を持つ存在は許容しないという強い姿勢の表れだ。次の取り締まり対象はどこか―。戦々恐々とした雰囲気が漂う。[br][br] ▽低姿勢[br] 「今回の処分は、われわれへの警鐘、鞭撻(べんたつ)と理解しています」。独占禁止法違反で182億元(約3千億円)の罰金を科された電子商取引(EC)最大手アリババグループは10日の声明で、当局の決定を低姿勢で受け入れた。[br][br] 業者に他社の通販サイトへの出品を許さない「二者択一」が不正と認定されたが、昨年11月の時点でアリババ側は取材に「問題ではない」と突っぱねていた。[br][br] 今回の規制強化は、アリババ創業者の馬雲(ばうん)氏が昨年10月、中国の金融体制を批判したことに習国家主席が激怒したことがきっかけとされる。アリババ傘下の電子決済サービス「アリペイ」運営会社の新規上場は延期となった。[br][br] 延期直後の11月上旬、国家市場監督管理総局は長文の規制案を発表。業界関係者は「念入りに準備していた」とみる。[br][br] ▽監視下[br] 当局はその後、矢継ぎ早に独禁法や不正競争防止法の違反を摘発。アリババ傘下企業のほか、IT大手の騰訊控股(テンセント)など大手が相次いで調査対象となった。馬氏は約3カ月間、公の場から姿を消した。[br][br] 次の標的はテンセントか―。業界にはそんな臆測も飛び交う。中国メディアによると、テンセントの馬化騰(ばかとう)会長ら幹部は今年3月、中国の規制当局と積極的に協力していると話し、市場の懸念打ち消しに追われた。[br][br] アリペイと並び、テンセントの通信アプリ「微信(ウィーチャット)」も電子決済ができ、中国での生活に欠かせない。この二大アプリを筆頭に、中国では買い物からローンまでさまざまなサービスがネットを通じて行われ、金融当局も全容把握に苦慮しているもようだ。[br][br] 習指導部は現金に取って代わる電子通貨「デジタル人民元」の実用化も急ぐ。こうしたネット上の「お金の流れ」も全て監視下に置いて逸脱を許さない構えだ。 中国ネット企業に対する主な取り締まり(写真はロイターなど)