時評(4月11日)

青森県で新型コロナウイルスの感染者が増え続けている。3月中旬以降、クラスター(感染者集団)が続発し、感染経路が不明なケースも目立つ。変異株も見つかっており、春祭りシーズンを前に、市中感染のリスクが高まっている。 政府は、宮城、大阪、兵庫の3.....
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 青森県で新型コロナウイルスの感染者が増え続けている。3月中旬以降、クラスター(感染者集団)が続発し、感染経路が不明なケースも目立つ。変異株も見つかっており、春祭りシーズンを前に、市中感染のリスクが高まっている。[br][br] 政府は、宮城、大阪、兵庫の3府県に、緊急事態宣言に準じた集中的対策が可能となる「まん延防止等重点措置」を全国で初めて適用。9日には東京、京都、沖縄の3都府県を追加することを決定した。[br][br] 感染が拡大する青森県にとっても、重点措置は対岸の火事ではない。月別(発表日ベース)で見ると、1月は235人を記録し、2月は99人に減ったが、3月は215人に増加。4月に入ってからも感染確認が続き、既に100人を超えている。[br][br] 県が確保する193病床に対する病床利用率は約25%。国の分科会が示す感染状況のステージでは、2番目に深刻な「3」に相当する。このまま感染が広がれば、通常の医療提供体制にも影響が出かねない。[br][br] 気になるのはクラスターが相次いでいる点だ。この1カ月で県内で確認されたのは計13件。飲食店や不動産事業所、障害者施設、趣味の場など形態は多様で、発生地域で見ても6保健所管内に及ぶ。全国の状況と同様、異動期で人の往来が活発になり、歓送迎会など会食の機会が増加したのが感染拡大の背景にあるようだ。[br][br] 経路不明者も増えている。クラスターが起きた八戸市の教育保育施設では、予防対策を徹底していたにもかかわらず感染が広がった。持ち込まれた要因は分かっておらず、多くの人が出入りする施設内で完全に感染を防ぐのが難しいという現実が浮き彫りになった。[br][br] 県内はこれから春祭りシーズンを迎える。感染拡大を受けて、県は警戒レベルを引き上げ「地域の感染状況に応じて改めて開催可否の判断を」と主催者に求めている。県内の状況はイベント関連のガイドラインで、既に中止を判断する段階に相当し危機的な局面にある。[br][br] 県の求めに応じる形で、青森市合浦公園などが会場の「青森春まつり」は中止が決まった。今後、各地で開催を見直す動きが出てくる可能性がある。開催する場合でも、イベントが感染拡大の場とならないよう徹底した対策が不可欠だ。[br][br] 飲食店に時短営業の要請が可能な重点措置は地域経済に大きな影響を与える。講じた対策を感染抑制につなげ、適用となる事態を避けなければならない。[br]