コロナ対策徹底でお墨付き 山梨独自の認証制度に注目

 甲府市内の飲食店で、換気能力を調べる山梨県の調査員ら=2020年11月(同県提供)
 甲府市内の飲食店で、換気能力を調べる山梨県の調査員ら=2020年11月(同県提供)
新型コロナウイルス感染対策を徹底した飲食店や宿泊施設にお墨付きを与える山梨県独自の認証制度に注目が集まっている。店に通常営業を続けてもらいながらも感染抑制を図る狙いで、県は「山梨モデル」と呼ぶ。営業時短要請に頼りすぎない手法と評価され、全都.....
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 新型コロナウイルス感染対策を徹底した飲食店や宿泊施設にお墨付きを与える山梨県独自の認証制度に注目が集まっている。店に通常営業を続けてもらいながらも感染抑制を図る狙いで、県は「山梨モデル」と呼ぶ。営業時短要請に頼りすぎない手法と評価され、全都道府県のうち、千葉、滋賀両県など20自治体(9日時点)が「参考にしたい」などと問い合わせてきたという。[br][br] 制度は「やまなしグリーン・ゾーン認証」。昨年6月スタートした。客の検温をはじめ「座席の間隔を最低1メートル以上確保」「大皿は避け料理を個々に提供」といった細かな基準があり事業者が申請。特徴は、県側が実地調査をしてから認証する点にある。取り組み内容を聞き、メジャーで距離も測定。県職員に加え、コロナ禍で仕事が減った旅行会社に委託し調査人員を確保している。[br][br] 飲食店、宿泊施設、ワイナリー、酒蔵など9日時点で認証は4657件。お墨付きが県民や旅行者の信用につながるほか、県の支援施策が適用されるメリットも。甲府市の「生そば きり」従業員の吉川一真さん(22)は「お客さんに対策のお願いがしやすくなった」と認証効果を語った。[br][br] 感染が拡大し営業時短要請が出れば、認証施設も対象になり得るが、県全域での感染対策底上げで要請に追い込まれる事態そのものを回避したいという理念がある。取り組みが不十分ならば認証取り消しの可能性があり、抜き打ち調査も行うなど感染対策の実効性を高めようと腐心している。[br][br] 県は積極的疫学調査をコロナ罹患(りかん)者全般で続けており、感染者が認証施設を訪れたケースは約70件あったとされる。だが県によると、認証施設を通じて感染の連鎖があったのは1件で、店のルールを客側が守らなかった事例だった。[br][br] 3月の新規感染者は県内で30人。一方、4月は9日時点で既に50人に及んでおり、経済と感染抑止の両立に気をもむ日々が続く。[br][br] 「感染の波が来るたびに時短要請をするようでは飲食店などの事業が成り立たなくなる」。山梨県の長崎幸太郎ながさきこうたろう知事は8日の記者会見で力説。時短に伴う協力金など財源には限りがあるとし、山梨モデル同様の取り組みを「全国ベースで採用するべきだ」と付言した。[br][br] 千葉県では就任早々の熊谷俊人知事が、同様の取り組みを千葉市など自治体を指定する形で「5月にも実施したい」と明言。滋賀県の担当者も「山梨モデルを参考に、営業時短要請に頼りすぎない対策を考えたい」とし、4月中にも点検リストの公表を目指している。 甲府市内の飲食店で、換気能力を調べる山梨県の調査員ら=2020年11月(同県提供)