最強PCウイルス制圧 欧米8カ国連携 被害数百億円

 制圧作戦に参加した8カ国
 制圧作戦に参加した8カ国
最強のコンピューターウイルスと呼ばれた「Emotet(エモテット)」が、欧米8カ国が連携した共同作戦で制圧された。被害は世界で数百億円規模に上るとされる。ウイルスは既に無害化されたが、作戦は終わっていない。総仕上げとして日本を含め感染したパ.....
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 最強のコンピューターウイルスと呼ばれた「Emotet(エモテット)」が、欧米8カ国が連携した共同作戦で制圧された。被害は世界で数百億円規模に上るとされる。ウイルスは既に無害化されたが、作戦は終わっていない。総仕上げとして日本を含め感染したパソコンを特定し利用者に連絡。二次被害対策を促した上で今月下旬、ウイルスを消滅させる。[br][br] 「警察だ」。黒ずくめの捜査員が古いアパートの扉をこじ開けて室内に入ると、内部がむき出しのパソコンや大量のハードディスクが見つかった。ウクライナ警察は捜索の様子をユーチューブで公開した。[br][br] 欧州刑事警察機構(ユーロポール)は1月末、欧米8カ国の捜査当局による作戦が成功したと発表。オランダ当局は世界で100万台以上が感染し、被害は数百億円に上ると説明した。エモテットが盗んだとみられるパスワード付きのメールアドレスも60万件見つかったという。ドイツ当局によると、ウイルスを制御するサーバーを4カ国で押収した。[br][br] エモテットは届いたメールに添付されたワード形式のファイルを実行すると感染し、乗っ取ったメールのアドレス帳を見てさらにウイルスを送り付ける。パソコンに保存された各種の認証情報を盗み取り、制御サーバーからの指示があれば別のウイルスに二次感染させられる点も悪質だった。[br][br] 日本でも2019年から流行し、過去のメールの本文を引用したり、新型コロナウイルスに関わる話題で偽装したりする巧妙な手口が確認されている。警察庁は今年2月、海外の捜査当局から2万6千件の感染を伝えられたと発表。ユーロポールは「世界で最も危険なウイルス」としている。[br][br] 作戦の総仕上げが、感染したパソコンの被害をこれ以上広げないための処置だ。専門機関JPCERT(ジェーピーサート)コーディネーションセンターによると、エモテットは既に無害化されたものの、他のウイルスに感染していたり、認証情報が盗まれていたりする可能性が高い。[br][br] そのため約3カ月にわたり各国で感染したパソコンの利用者に連絡し、ウイルス対策やパスワードの再設定などを促す。そして今月25日、世界で一斉に消滅する。[br][br] 同センターでエモテットの動向を分析する佐條研さじょうけんさんは「多くのサイバー攻撃の足掛かりに使われてきたウイルスで、制圧のインパクトは大きい」と評価。一方で似た手口のウイルスも多くあるとして「不審な添付ファイルは開かないよう引き続き注意してほしい」と呼び掛けている。 制圧作戦に参加した8カ国