【ワシントン共同】バイデン米政権は7日、来年の北京冬季五輪ボイコットを同盟国などと協議する可能性を示した前日のプライス国務省報道官の発言を軌道修正し、参加姿勢に「変更はない」(サキ大統領報道官)と強調した。中国の人権問題を念頭に置いたプライス氏の発言の真意は不明。中国の反応や米国内の雰囲気を見極める狙いもあるとみられるが、大きな波紋が広がった。[br][br] サキ氏は7日の記者会見で「冬季五輪が開催されるのは来年の冬だということは、言っておきたい」と指摘。まだ参加や不参加を本格的に議論すべき時期ではないとの考えを示し、今後の政権対応に余地を残した。[br][br] プライス氏が6日の記者会見で、共同ボイコットを同盟・友好国と「議論したい」と述べると、米メディアは一斉に「ボイコットを検討」と報道。国務省高官が直後にメディアに「報道官は『検討した』とは言っていない」と補足説明するなど、発言が意図しない形で広がったことをうかがわせた。[br][br] 中国は大きく反応し、五輪と人権の結び付けに習近平指導部が神経質になっていることを示唆。同盟国である日本にも影響は波及し、日本オリンピック委員会は選手団派遣方針に変更がないことを表明した。[br][br] バイデン政権が判断を尊重するとしている米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)はボイコットに反対の立場を表明。選手への影響も大きく、サキ氏は最終的な判断は留保しつつ、現時点での基本姿勢を「参加」という踏み込んだ言葉を使って説明した。[br][br] 米国内には、ボイコットや開催地変更を求める声が保守派を中心に根強い。バイデン政権は北京五輪が近づくにつれ、難しい判断を迫られていくことになる。