【首都圏のコロナ変異株、拡大懸念】全国に波及、再宣言リスク 政府は検査強化

 首都圏の1週間平均の新規感染者数
 首都圏の1週間平均の新規感染者数
新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言解除から2週間が過ぎた首都圏で、感染再拡大の懸念が強まっている。最大の不安要素は感染力が強いとされる英国由来の変異株。首都圏で大阪府や兵庫県レベルの流行が起きれば、全国に波及する可能性が高い。最初の宣言発.....
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 新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言解除から2週間が過ぎた首都圏で、感染再拡大の懸念が強まっている。最大の不安要素は感染力が強いとされる英国由来の変異株。首都圏で大阪府や兵庫県レベルの流行が起きれば、全国に波及する可能性が高い。最初の宣言発令から7日で1年。3度目の発令も現実味を帯び、経済への大打撃も想定される。政府は実態解明のため、変異株の検査強化に乗り出した。[br][br] ▽移動活発化[br] 「変異株が広がっているので、外食は控えて感染防止対策を徹底したい」。6日の羽田空港。出張で関西方面に向かう会社員の男性(44)は不安を口にした。[br][br] 政府は宣言に準じた対策を可能とする「まん延防止等重点措置」を宮城、大阪、兵庫の3府県に適用。大阪府は府外への不要不急の移動を自粛するよう呼び掛けた。だが強制力はなく、大型連休に向けて人の流れは活発化するとみられる。変異株の首都圏への波及を警戒する専門家は多い。[br][br] 1週間平均でみると、首都圏1都3県の6日時点の新規感染者数は、千葉県を除き3月30日時点よりも増えている。[br][br] 東京都の幹部が頭を悩ませるのは、飲食店に対する午後9時までの営業時間短縮要請が終了する今月21日以降の対策だ。都内は宣言解除後に人出が急増。都の幹部は「人の流れを抑制する対策は取り続けなければならない」と話すが、飲食店への閉店時間を1時間早める以外の具体策に欠けるのが実情だ。[br][br] 首都圏で感染を抑え切れないまま変異株が広がれば、感染者急増のリスクを抱えることになる。政府は自治体に変異株の検査強化を要請。都も民間機関と連携し、現在2割の検査割合を最終的に4割まで引き上げるとしている。[br][br] ▽3波超え[br] 首都圏の宣言解除は3月22日。感染状況が数値に現れるには2週間ほどかかるため、解除後の実情は今後判明するとみられる。千葉県の熊谷俊人知事は、今月6日の対策会議で「年度末を挟んだ影響が出てくるのはこれから」と強調。ただ、政権内部では「変異株の分析はまだまだ」「それほど恐れることはない」と危機感が共有されていない。[br][br] 大東文化大の中島一敏教授(感染症疫学)は首都圏の感染者について「このまま減ることはなく、むしろ勢いを増す。変異株が広がっていなくても第3波を超える恐れがある」と指摘。「変異株が広く入り込む前に抑えることが大事になる。検査によって変異株の状況を監視することが必要だ」と訴える。[br][br] ▽「損失数兆円」[br] 対応を誤れば、政権が重視する経済への影響も甚大になる恐れがある。変異株を考慮した新規感染者数と経済損失との関係を分析している東大の仲田泰祐准教授(金融政策)の6日時点の推計では、英国並みに変異株が急増した場合、東京都の1日当たりの感染者が6月初めには約1200人となり、宣言の再発令が必要な水準になる。[br][br] 仲田准教授は「変異株は感染力が高い水準で維持されるとみられ、より強固な感染対策が必要になる。宣言が出る事態になれば経済の落ち込みは格段に大きくなり、損失は数兆円規模に及ぶ可能性もある」と話した。 首都圏の1週間平均の新規感染者数