4月11日に投開票される南米ペルーの大統領選が混戦模様だ。フジモリ元大統領(82)の長女で3度目の出馬となるケイコ氏(45)ら18人が立候補する中、突出した候補はおらず上位2人による6月の決選投票にもつれ込むとみられる。世論調査会社が3月初旬に実施した模擬投票ではケイコ氏は4位に沈み、第1回投票で敗退するとの見方もある。[br][br] ▽イメージ悪化[br] 「不当に拘束されたが、この国を再び救い出すという信念と希望は誰にも奪えない」。ケイコ氏は3月21日のオンライン討論会で訴えた。[br][br] ケイコ氏は惜敗した過去2度の大統領選出馬の際にブラジル企業から受け取った資金を洗浄した罪などで起訴され、検察は禁錮30年10月を求刑。有罪判決が出るまでは選挙戦を続けられるが、イメージの悪化は著しい。[br][br] 公約は「レスカテ(救出)2021」。父フジモリ氏の「遺産」を前面に出した選挙戦を展開する。1996~97年に起きた在ペルー日本大使公邸人質事件でフジモリ氏が特殊部隊を突入させ、人質を「救出」したことを強調し、自身も新型コロナウイルスの打撃から国民を「救出する」と訴える。当選した場合は、在任中の人権侵害事件で服役中の父親を恩赦するという。[br][br] 首都リマで果物販売をするカルメラ・ベルメホさん(45)は、ゲリラ壊滅などで豪腕ぶりを見せたフジモリ大統領時代から一貫して一族を支持。「検察の起訴内容は信じない。闘う女性に大統領になってほしい」。一方かつてはケイコ氏に票を投じた会計士マウリシオ・オバンドさん(37)は「ケイコはうそつきに思えるし(当選しても)汚職疑惑が付いて回る」と不支持に転じた。[br][br] ▽約7割が拒否[br] 約1200人の模擬投票で首位だったのは、ポピュリスト(大衆迎合政治家)候補で得票率21%の中道左派ジョニー・レスカノ元国会議員(62)。次点はサッカー元ペルー代表のジョージ・フォルサイト氏(38)で同13・9%。父親は駐日大使だ。企業家の右派ラファエル・ロペスアリアガ氏(60)が11・6%、ケイコ氏は10・6%だった。[br][br] 模擬投票を実施した世論調査会社イプソス・ペルーのトレス社長は「ケイコ氏が勝利する可能性は非常に低い」と指摘。ある世論調査では約7割が、ケイコ氏には絶対に投票しないと答えた。ただ情勢は刻々と変わっており、現地外交筋はケイコ氏が浮上する可能性も「否定できない」とする。(サンパウロ共同)