中型イカ釣り2隻出漁取りやめ/八戸 長引く不漁影響か

船凍スルメイカの水揚げの様子。漁獲量は年々、落ち込んでいる=3月、八戸市第3魚市場C棟(写真と記事は直接関係ありません)
船凍スルメイカの水揚げの様子。漁獲量は年々、落ち込んでいる=3月、八戸市第3魚市場C棟(写真と記事は直接関係ありません)
5月から始まる中型イカ釣り船による船凍アカイカ・スルメイカ漁で、八戸市内の20隻のうち、今季は2隻が出漁しない見通しであることが31日、水産関係者への取材で分かった。東日本大震災前の38隻から18隻と、この10年で半分以下に減少。八戸港の水.....
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 5月から始まる中型イカ釣り船による船凍アカイカ・スルメイカ漁で、八戸市内の20隻のうち、今季は2隻が出漁しない見通しであることが31日、水産関係者への取材で分かった。東日本大震災前の38隻から18隻と、この10年で半分以下に減少。八戸港の水揚げの柱といえる船凍イカだが、長引く不漁で数量、金額とも実績は年々落ち込み、影響が深刻化している。[br][br] 複数の関係者によると、2隻とも近年の漁獲不振に伴う収益悪化が撤退の背景にあるとみられる。市水産事務所によると、同港で大中型イカ釣り船による船凍イカの水揚げは2020年度(20年5月~21年3月)が数量7963トン、金額34億2450万円で、いずれも過去10年で最低だった。[br][br] 中型船の漁期は例年、5月から翌年2、3月まで。ここ数年は前半に北太平洋のアカイカ漁、後半は日本海のスルメイカ漁に回る船が多いが、操業にはそれぞれ一長一短がある。[br][br] アカイカは数量が見込めるものの、漁場までの燃油代がかさむ。20年度は新型コロナウイルス感染拡大に伴う需要減などが響き、単価も低迷した。[br][br] 一方、スルメイカは数量不足が顕著。特に、最近は中国や北朝鮮の漁船が日本の排他的経済水域(EEZ)内の好漁場に大挙押し寄せ、違法操業を繰り返す事態が問題化した。魚価も伸び悩み、赤字となる船もあったとされる。[br][br] 八戸漁業指導協会によると、市内の中型船は10年度に38隻が操業。11年3月の震災で12隻が被災し、国の支援事業で6隻が新造されたものの、その後は不漁に伴って櫛の歯が欠けるように減少。19年度21隻、20年度20隻、21年度18隻と下降線をたどっている。[br][br] また、同港を拠点とするむつ市大畑町の中型船は19年度で2隻が撤退し、現在は4隻が残るのみだ。[br][br] 現在のイカ釣り漁は船同士が連携して情報を共有し、好漁場を分け合う操業が定着している。同協会の石川大蔵事務局長は「隻数が減れば漁場を探しにくくなる恐れがある」とデメリットを挙げる。[br][br] 今後について、ある漁業関係者は「今季の漁模様が鍵」と指摘。別の船関係者も「不漁の傾向が続くようだと、来年以降も撤退する船が出るかもしれない」と危機感を強めている。船凍スルメイカの水揚げの様子。漁獲量は年々、落ち込んでいる=3月、八戸市第3魚市場C棟(写真と記事は直接関係ありません)