天鐘(3月30日)

明後日から新年度が始まる。ふと気付けば、何気なく見ていたテレビの番組が終わったり、リニューアルされたりと慌ただしい。始まりがあれば終わりがある。当たり前だが、テレビ局にも人事異動がある▼NHK『ニュースウオッチ9』の有馬嘉男(よしお)キャス.....
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 明後日から新年度が始まる。ふと気付けば、何気なく見ていたテレビの番組が終わったり、リニューアルされたりと慌ただしい。始まりがあれば終わりがある。当たり前だが、テレビ局にも人事異動がある▼NHK『ニュースウオッチ9』の有馬嘉男(よしお)キャスターが26日の放送をもって降板した。穏和だが、キリリと締まった物言いにジャーナリズムの真髄を見せてもらった▼報道に携わる者として「かくあるべし」と拍手を送ってきただけに残念だ。中でも昨年10月、所信表明後に生出演した菅義偉首相へのインタビューが忘れ難い。世論が沸騰していた学術会議の会員任命問題である▼逃げ腰の首相に「説明する必要があるのでは」と迫り、首相が「説明できることとできないことがある」と切れてしまった。翌日、報道局に「総理、怒っていますよ」と一本の電話が入った(『週刊現代』)▼あの前内閣広報官は否定するが何とも後味が悪い。菅氏は過去にもNHKやテレビ朝日など電波媒体との確執が問題になった。NHK元会長人事では「聖域にメスを入れた」(自著『政治家の覚悟』)と自画自賛▼人事という名の「伝家の宝刀」を抜いたが、官僚接待では長男が“菅家の宝刀”と勘違いして振り回した。首相が自らの判断を「説明できないこと」と逃げるなら議会制民主主義とは異質の世界。マイクという真剣を手に食い下がるしかない。