英国で見つかった新型コロナウイルス変異株が世界100カ国以上に拡大したことが29日、英大学などの調査で分かった。南アフリカ株やブラジル株も合わせれば変異株確認は約120カ国に。三つ全てが見つかった国は日本を含め約20カ国に上る。[br][br] 世界でワクチン接種が加速しても、各国では別の新株確認が相次いでおり、ワクチンが効かない懸念も強まる。製薬大手各社は改良ワクチン準備を急いでいる。 世界の感染者は1億2700万人を超え、依然収束は見通せない。ウイルスは常に変異しており、既存株の流行を防げなければ、さらに強力な変異株が出現する脅威もある。[br][br] フランスでは、鼻から検体を採取するPCR検査では確認できない変異株も見つかっており、猛威を振るうウイルスの変異に医療が追い付いていない状況だ。 英国株は南東部で昨年9月に最初に報告された。感染力が従来型より最大1・7倍、死亡率は1・3~2倍高いとの研究もある。英国の多くの地域で一時、新規感染者の大半を占め、フランスやスロバキアで7割超になるなど各国で従来型と置き換わっている。[br][br] 従来型では感染率が低かった若年層でも広がりやすい疑いが指摘され、イスラエルでは流入確認以降、10歳未満の感染確認が2割以上増えたという。[br][br] 南ア株は約60カ国、ブラジル株は約30カ国で確認された。日本の国立感染症研究所などによると、現行ワクチンは英国型には有効。ただ南ア株とブラジル株はウイルスに対する人間の免疫を弱める性質を持つとみられ、南ア株へのワクチンの効果は不透明だ。ブラジル株は再感染の危険があるとの研究結果もある。[br][br] 米製薬大手モデルナは変異型に対応したワクチンをつくったとしているが、変異がさらに進めば新製品の開発が不可欠となる可能性も高そうだ。