【コロナ県内初確認1年】対策コーディネーターの大西医師に聞く

「感染する場面としない場面のめりはりも重要」と話す青森県感染症対策コーディネーターの大西基喜医師=19日、県庁
「感染する場面としない場面のめりはりも重要」と話す青森県感染症対策コーディネーターの大西基喜医師=19日、県庁
青森県内で新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されてから1年が経過した。3月に入っても新規感染の発生が相次ぎ、収束は見通せない状況だ。これまでの感染傾向や今後の懸念について、県感染症対策コーディネーターの大西基喜医師に聞いた。 ―感染の傾.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 青森県内で新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されてから1年が経過した。3月に入っても新規感染の発生が相次ぎ、収束は見通せない状況だ。これまでの感染傾向や今後の懸念について、県感染症対策コーディネーターの大西基喜医師に聞いた。[br][br] ―感染の傾向は。[br] 感染した場所は「飲食店」「学校や職場」「家庭」の3カ所に絞られる。特に会食の場が多い。全国の感染者の増加に伴い、県内も増えたという感じがする。国内の対策は自粛中心なので、自粛をしては緩むという繰り返しとなっている。[br][br] ―新型コロナの特徴は。[br] 公衆衛生学の観点からみると、実は非常に対応しやすい感染症。極端な例だが、インフルエンザはスーパーで感染が広がる可能性もあり、抑えるのはほぼ不可能。一方、新型コロナはクラスター(感染者集団)を中心に広がり、感染した人をしっかり追いかけて対応すれば抑えられる。対応した分の効果がある感染症で、その特性が逆に保健所の疲弊につながっている。[br][br] ―感染者や医療従事者への誹謗(ひぼう)中傷も問題だ。[br] 感染症は「持ち込んだ」という発想があり、エイズウイルス(HIV)や結核など、感染した人を厳しくとがめる風潮がある。われわれが対処しなければいけないのは病気そのもの。感染した人を責めるのは絶対におかしい。[br][br] ―情報公開の在り方はどう考えるか。[br] 感染者の行動を詳細に伝えるのは、県民の安心のため必要と思っていた。だが、今はインターネットですぐに個人が特定される。感染者や医療従事者が非難される事態となり戸惑った。病気は非常にデリケートなもので、誰が何の病気になったかを公にするのは、本来あってはならない。情報の公開基準を設けつつ、個人の特定につながらない方法を模索してきた。[br][br] ―今後の見通しは。[br] 一番良いシナリオはワクチンが効いて完全に抑え込むこと。ただ、ワクチンが効きにくい変異株などが出てきているため、効果が長く続かないかもしれない。新型コロナとある程度付き合いながら生活していかなければならない。[br][br] ―感染対策で意識すべきは何か。[br] マスクや手洗い、体調管理といった従来の対策は有効だ。更衣室や休憩室、食事や喫煙所など場面の切り替わりにも注意しないといけない。一方、感染する場面としない場面のめりはりも重要。公共交通機関に加え、デパートやコンビニでの買い物などは安全度が高い。閉じこもればいいという訳ではなく、できるだけ外に出て歩いたり、体を動かしたりするのも大切だ。「感染する場面としない場面のめりはりも重要」と話す青森県感染症対策コーディネーターの大西基喜医師=19日、県庁