天鐘(3月23日)

小学生の頃、仲間と原っぱで遊んだ草野球。使ったボールは「つぎまり」だった。一定の年齢以上の方は記憶にあろう。古い布を丸く縫い合わせた手作りの球である▼打ったり投げたりしているうちにすぐボロボロになる。でも小遣いでは新しいボールは買えないから.....
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 小学生の頃、仲間と原っぱで遊んだ草野球。使ったボールは「つぎまり」だった。一定の年齢以上の方は記憶にあろう。古い布を丸く縫い合わせた手作りの球である▼打ったり投げたりしているうちにすぐボロボロになる。でも小遣いでは新しいボールは買えないから、いつも皆で作り直して使い続けた。友達と一緒に糸と針で繕った球は、例えふぞろいで不格好でも大事な宝物だった▼八戸西高野球部の古いボールを心を込めて修繕するのは、八戸高等支援学校の生徒たち。監督が教える縁で交流が生まれ“心のキャッチボール”が続く。西高の活躍、そして選抜。その陰にあった八高支の支えは見逃せない▼古いテープをはがして、新しく巻き直す。単純だが根気が要る作業だ。1週間に100個以上。ボール一つ一つに「頑張れ、西高」のエールを込める。八高支の生徒たちにとっても「一球入魂」だ▼きのうの西高は思うように戦えなかった。打線が振るわず、失策も出た。夢に見た甲子園は、ほろ苦い記憶となって、あっという間に終わってしまった。それでも、地元の願いに応えた、あの2点適時打の集中力は見事▼悔しさを胸に、ナインはまた夏へ出直す。大舞台で改めて学んだ一球の大切さ、怖さを生かしてほしい。新たな挑戦はまた、八高支の生徒たちとの「二人三脚」。大事なボールに、互いに魂を入れ直してのスタートになる。