【センバツ】八戸西の校歌作曲 佐々木さん、特別な思いで初戦待つ

八戸西高の初戦を特別な思いで待つ佐々木孝男さん=18日、八戸市
八戸西高の初戦を特別な思いで待つ佐々木孝男さん=18日、八戸市
第93回選抜高校野球大会に青森県勢初の21世紀枠で出場する県立八戸西高は、間もなく運命の初戦を迎える。その瞬間を特別な思いで待ち望んでいるのが、同校の校歌を作曲した元高校教諭の佐々木孝男さん(77)=八戸市=だ。作詞を手掛けたのは、同市出身.....
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 第93回選抜高校野球大会に青森県勢初の21世紀枠で出場する県立八戸西高は、間もなく運命の初戦を迎える。その瞬間を特別な思いで待ち望んでいるのが、同校の校歌を作曲した元高校教諭の佐々木孝男さん(77)=八戸市=だ。作詞を手掛けたのは、同市出身の芥川賞作家三浦哲郎さん(1931~2010年)で、生前、同校の甲子園出場を心待ちにしていたという。その悲願が果たされることとなり、佐々木さんは「三浦さんも楽しみにしていた大会でついに校歌が鳴り響く。学校や地域など、みんなを喜ばせるプレーをしてほしい」と期待を込める。[br][br] 同市出身の佐々木さんは、国立音楽大で作曲のいろはを学んだ。卒業後は地元へ戻り、音楽教諭として教壇に立つ一方、吹奏楽部の指導にも注力。勤務した学校を県内屈指の強豪に育て上げてきた。[br][br] 県立八戸高に勤務していた1974年、校内には八戸西高の創立へ向けた準備室が設置されていた。校歌は三浦さんが作詞することが決まっており、作曲を学んできた佐々木さんに白羽の矢が立った。[br][br] ♪若草萌ゆる 奥南の野に 眉清く 集いしわれら いざ友よ 希望に燃えて 雄飛の精神 養わん 栄光燦(さん)たり おお西高校[br][br] 手渡された三浦さんの歌詞は「温かさや優しさ、思いやり、思慮深さがあふれていた」。三浦さんの小説も読み込み、その世界観を音で再現する作業が始まった。[br][br] 「偉大な作家が書いた歌詞の作曲が私でいいのか」とプレッシャーも感じていたが、歌詞を繰り返し読み、それに合うメロディーを探した。校歌は学校の顔としても残り続け、大人になっても歌う機会があるため、歌いやすさを心掛けながら、1カ月の制作期間を経てついに完成した。[br][br] その出来栄えに三浦さんも喜んでいたといい、その後、三浦さんとの交流も始まった。市立白銀南小の校歌を三浦さんが書くことになった際には、佐々木さんを指名。一緒に酒を酌み交わす機会もあり、三浦さんの明るい性格に引かれながら交流を深めた。[br][br] 今回の快挙が決まった瞬間、三浦さんのことが真っ先に頭に浮かんだという佐々木さん。「元気でいてくれたら、さぞかし喜んでいたんだろうな」とかみ締める。[br][br] 甲子園大会では校歌に注目するファンも多く、「ひと味違う野球を見せ、西高の校歌を全国に響かせてほしい」とエールを送った。八戸西高の初戦を特別な思いで待つ佐々木孝男さん=18日、八戸市