【ワクチン接種】医師確保に自治体苦戦 迫る高齢者接種開始

 新型コロナワクチンの接種を円滑に進めるため、厚労省と川崎市が1月に実施した集団接種の訓練。看護師(右)が注射器で打つしぐさをした
 新型コロナワクチンの接種を円滑に進めるため、厚労省と川崎市が1月に実施した集団接種の訓練。看護師(右)が注射器で打つしぐさをした
新型コロナウイルス感染症の高齢者向けワクチン接種が4月から始まるのを前に、自治体が医師確保に苦戦している。近隣自治体との共同接種を模索するものの、土地が広すぎたり、周辺の病院や医師も少なかったりと連携が難しい。「今ある資源でどうにか始めてみ.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 新型コロナウイルス感染症の高齢者向けワクチン接種が4月から始まるのを前に、自治体が医師確保に苦戦している。近隣自治体との共同接種を模索するものの、土地が広すぎたり、周辺の病院や医師も少なかったりと連携が難しい。「今ある資源でどうにか始めてみるしかない」と、手探りの状況が続く。[br][br] ▽2人で7千人[br][br] 「通常診療の合間を縫って接種するしかない」。3月上旬、北海道標茶町の担当者はため息をついた。人口約7400人の同町は医療機関がない「無医地区」を抱える。効率的に多くの住民を接種するため集団接種を検討するが、町内の病院は一つだけ。「実質2人の医師で7千人以上の町民を接種することになる」。他の患者の治療に支障が出ないか不安は尽きない。[br][br] 当初は、近隣自治体との連携接種も考えたが、距離が離れすぎていて「市民の負担になる」と断念した。町中心部から一番遠い無医地区までは車で約50分。今はバスやタクシーでの送迎を考える。近隣の自治体に医師の応援を頼みたいが「いつ、どれくらいのワクチンが供給されるか分からない中で要請はできない。始めながら考えていくしかない」。[br][br] ▽模索[br][br] 接種事業は原則、自治体ごとに実施するが、医療機関や医師が乏しい自治体も少なくない。このため厚生労働省は1月、近接する自治体で一緒に態勢を築き、住民が他の自治体の医療機関でも接種を受けられる「共同接種」の仕組みを導入した。[br][br] 山梨県の富士吉田市など6市町村は、共同接種の協議を3月から本格化。6市町村の中には診療所が1カ所しかなく単独では接種態勢を確保できないところもあり、公立病院を有する富士吉田市などの医療資源を活用する形で、接種会場や時期の調整を進める。[br][br] ▽難航[br][br] 自治体間で連携できても医療資源が追いつかないケースも。人口約2万6千人の香川県・小豆島にある小豆島町と土庄町は、島内唯一の基幹病院を2町で共有する形で準備を進める。「医療資源の共有はコロナ以前から実施してきた」と担当者。ただ、基幹病院だけでは医師が足りず他の診療所の協力も求めているが、医師自身が高齢で対応が難しいなど難航している。[br][br] 小豆島は高松市まで高速船で約30分。勤務先やかかりつけ医が高松市内にある島民も多いが、別の担当者は同市との連携について「今はどこの自治体も手いっぱい。自分たちの医療資源の中で対応していくしかない」と話した。 新型コロナワクチンの接種を円滑に進めるため、厚労省と川崎市が1月に実施した集団接種の訓練。看護師(右)が注射器で打つしぐさをした