国や世代超え手紙で交流 コロナ下で広がり

 オランダの男性から届いた絵はがきを手にする山中駿輔君(右)と加藤よつ葉さん=2020年12月21日、埼玉県横瀬町
 オランダの男性から届いた絵はがきを手にする山中駿輔君(右)と加藤よつ葉さん=2020年12月21日、埼玉県横瀬町
新型コロナウイルスの感染拡大により、人と人との日常的な接触が減る中、手紙などの媒体を通じた新たな交流が生まれている。海外の見知らぬ相手に思いをはせたり、若者と高齢者が地域でつながったり。普段は触れ合うことのない人との出会いが、互いの生活に良.....
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 新型コロナウイルスの感染拡大により、人と人との日常的な接触が減る中、手紙などの媒体を通じた新たな交流が生まれている。海外の見知らぬ相手に思いをはせたり、若者と高齢者が地域でつながったり。普段は触れ合うことのない人との出会いが、互いの生活に良い影響を及ぼしている。[br][br] 埼玉県横瀬町の小学校に通う山中駿輔君(12)と加藤よつ葉さん(8)は昨年8月、オランダの男性に宛てて、はがきを書いた。面識はない。男性はコロナ禍で諦めた日本への旅行の代わりに、各地の行政機関に頼んではがきを収集。依頼を受けた同町役場の勝間田幸太さん(33)の発案で、子どもたちのメッセージを添えた。[br][br] 約1カ月後、男性から2人にオランダの絵はがきが届いた。「返事が来るとは思わなかった」と山中君。インターネットで英語を調べながら読むのは「大変だけど楽しかった」。加藤さんも「返事は箱に入れて取っておく」と笑顔を見せた。[br][br] 勝間田さんは「国際交流が減る中、少しでも海外と触れ合う機会になればと考えた。水際対策などで閉鎖的な雰囲気があるが、海の向こうの人々にも思いをはせてほしい」と訴える。[br][br] 大阪府吹田市の五月が丘地区では、昨年4月から大阪大の学生グループ「すいすい吹田」が福祉団体の協力を得て、月に1度、地区の独居高齢者約120人に自作の「通信」を届けている。[br][br] グループは2018年の大阪府北部地震を機に結成。防災活動に参加するなど地域交流を進めていた。今回の取り組みは、コロナ禍で不安な思いを抱える高齢者を支えようと、代表の大阪大4年置塩ひかるさん(23)が中心となり企画した。[br][br] 通信には「お元気ですか」のメッセージとともに、「料理にはまっています」といった学生らの現状をつづる。地区の見守り活動をしている福祉委員が連携し、配達を担当。置塩さんは「受け取った人の様子が分かる」と協力に感謝する。[br][br] 感染拡大が落ち着いていた昨秋には顔合わせのイベントを企画し、学生3人と高齢者40~50人が参加した。パイプ役で吹田市社会福祉協議会の新宅太郎さん(46)は「高齢者は生活に張りが出るし、学生にも喜んでもらえた。双方に良い影響が出ている」と話す。[br][br] 高齢者を身近に感じるようになり、日頃の行動が変わった学生も。「共生社会とよく言われるが、接点のない人たちが出会うことから全てが始まる」と置塩さん。「コロナ禍で直接会う機会が限られても、違う形で関わりが広がればいいと思う」 オランダの男性から届いた絵はがきを手にする山中駿輔君(右)と加藤よつ葉さん=2020年12月21日、埼玉県横瀬町