避難計画の不備を理由に、水戸地裁が日本原子力発電東海第2原発(茨城県)の運転を認めない判決を下しました。[br][br] Q 避難計画とは。[br][br] A 原発事故が起きると核燃料が溶け、放射性物質が外部に放出される可能性があります。放射線の影響から住民を守るため、原発周辺の自治体は、事前に避難計画を策定することが義務付けられています。[br][br] Q 策定の範囲は。[br][br] A 東京電力福島第1原発事故以前、国は原発から約10キロ圏に策定を求めていましたが、福島の事故でより広範囲の住民が避難を強いられたことを受け、約30キロ圏に広げました。[br][br] Q 計画の内容は。[br][br] A 住民は、原発からの距離に応じて段階的に避難することになっています。リスクが高い5キロ圏(予防防護措置区域=PAZ)の住民は、放射性物質の放出が始まる前に避難を始め、甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤を服用します。高齢者や乳幼児らの「要配慮者」は、より早い段階で避難する計画です。[br][br] Q ほかの住民は。[br][br] A 5~30キロ圏(緊急防護措置区域=UPZ)では、まず自宅などで屋内退避します。その後、毎時20マイクロシーベルトを超える空間放射線量が観測されたエリアで、国の指示で避難を開始します。避難先は原発のある道県外にも用意され、住民らは自家用車やバス、船などで移動します。[br][br] Q 避難できますか。[br][br] A 各自治体は、地震で道路が寸断されることを想定し、複数のルートを計画に盛り込むなどしていますが、津波や大雪といった複合災害時に計画通り避難できるのか不安視する声もあります。住民らが事態の進展を待たずに避難を始めることで渋滞が起き、原発近くの住民が逃げられなくなることも予想され、段階的な避難の実現性には疑問が残ります。