北東北で店舗展開する「ユニバース」(八戸市)は創業以来、現代表取締役CEOの三浦紘一氏が半世紀以上にわたりトップとして経営手腕を発揮し、東北地方有数のスーパーに成長させた。親会社のアークス(札幌市)が内定した役員人事が正式決定すれば、5月17日付で長男の建彦氏が新社長に就任。ユニバース初のトップ交代が実現し、“八戸発”のスーパーは新体制で再スタートを切る。[br][br] 紘一氏は1967年にユニバースを立ち上げた。地域のスーパーとしては後発だったが、エリアを広げながら店舗網を拡大。2000年以降はM&A(企業の合併・買収)も進め、出店ペースを一層加速させた。[br][br] 07年4月、銀行以外の企業では青森県内で初めて東証2部に上場。08年12月には、金融機関を除いて北東北初の東証1部上場企業となった。売上高は右肩上がりに伸長し、11年4月期決算で1千億円を突破した。[br][br] 11年10月には新たな成長戦略の一手として、アークスと対等な立場での経営統合を果たす。ユニバースはアークス傘下に入ったが、グループの中核企業としてさらに売上高を伸ばした。近年は八戸に総菜工場のデリカセンターや食肉プロセスセンターを新設し、生産性向上に取り組んでいる。[br][br] アークス会長を兼任する紘一氏は、業界再編にも深く関わってきた。アークスは18年12月、バローホールディングス(岐阜県恵那市)、リテールパートナーズ(山口県防府市)と資本業務提携を締結し、「新日本スーパーマーケット同盟」を結成。将来的な寡占化を見据え、流通大手に対抗し得る枠組みを形成した。[br][br] 一方、紘一氏はこれまでの本紙取材に「今の時代は企業が何年続いたとか、どれだけの規模になったとかだけでは通用しない」と述べ、環境の変化に対応する重要性を強調してきた。人口減少による市場縮小や新型コロナウイルス禍が広がる中、新社長に内定した建彦氏のリーダーシップを地元経済界が注視している。