武田良太総務相は16日の記者会見で、幹部接待問題を巡り前総務審議官の谷脇康彦氏(60)を同日付で停職3カ月の懲戒処分にしたと発表した。谷脇氏は同日付で辞職した。谷脇氏の同意を得たため退職金の支払いは留保する。同様に接待を受けた巻口英司国際戦略局長(58)は減給10分の1(2カ月)の懲戒処分とした。2人が利害関係者からの接待を禁じる国家公務員倫理法の倫理規程に違反したと認定した。[br][br] 一連の接待で放送・通信行政がゆがめられたかどうかを調べるため、元検事の弁護士ら第三者でつくる「情報通信行政検証委員会」を設け、17日に初会合を開く。[br][br] 処分は、違法行為に厳しい姿勢を見せ事態の沈静化を図る狙いだが、辞職して民間人になれば、虚偽証言や隠蔽(いんぺい)を禁じた公務員倫理規程から外れるほか国会招致も難しくなり、かえって全容解明に支障が出るとの懸念が出ている。[br][br] 総務省は、菅義偉首相の長男正剛氏が勤める東北新社からの違法接待を調査した際、谷脇氏がNTTからの接待を申告しなかったことが国家公務員法の信用失墜行為などに当たると判断。武田氏は「職を辞するに至ったのは誠に遺憾だ。深くおわび申し上げる」と述べた。[br][br] 谷脇氏は2018年9月~20年7月にNTTの澤田純社長らから計3回で総額約10万7千円分、巻口氏は20年6月に1回で約5万1千円分の接待を受けた。[br][br] 谷脇氏は先月にも東北新社からの違法接待で減給の懲戒処分となり、NTT接待の発覚で今月、官房付に更迭された。総務省によると退職金は約5800万円。武田氏は、懲戒処分に当たる事案がさらに判明した場合、退職金を減額する可能性を示唆した。[br][br] 谷脇氏は旧郵政省出身。19年12月、事務方ナンバー2の総務審議官に就いた。菅首相が重視する携帯電話料金の引き下げなどに奔走、次の事務次官候補と目されていた。[br][br] 検証委は、元検事の吉野弦太弁護士を座長とし、行政学などが専門の学識経験者2人と企業経営者の計4人で構成。歴代の総務相や政務三役、退職者に関する検証も視野に入れ、接待による行政への影響を調べる。会合は非公開で議事概要を後日公開。今後のスケジュールや報告の取りまとめ時期は未定という。