五輪でバーチャルスポーツ採用?! コロナ禍受けIOC検討へ

 新型コロナウイルス禍で中止となったツール・ド・スイスの代替開催のバーチャルレースに自宅から参加するスイス選手=2020年4月22日、ナーテルス(ロイター=共同)
 新型コロナウイルス禍で中止となったツール・ド・スイスの代替開催のバーチャルレースに自宅から参加するスイス選手=2020年4月22日、ナーテルス(ロイター=共同)
国際オリンピック委員会(IOC)が12日まで開いた総会で今後5年の改革指針「アジェンダ2020+5」を採択し、身体運動を伴いながらオンラインで競う「バーチャル(仮想)スポーツ」(VS)の五輪採用検討を盛り込んだ。新型コロナウイルス禍で大会中.....
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 国際オリンピック委員会(IOC)が12日まで開いた総会で今後5年の改革指針「アジェンダ2020+5」を採択し、身体運動を伴いながらオンラインで競う「バーチャル(仮想)スポーツ」(VS)の五輪採用検討を盛り込んだ。新型コロナウイルス禍で大会中止が相次ぐ苦境を逆手に取り、市場開拓と五輪の未来像を模索していく。[br][br] ▽五輪改革の目玉[br][br] 「コロナの危機を乗り越えたとしても、社会的、経済的に大きな影響を受けるだろう。われわれは新しい世界に備えなければいけない」。再選で2025年までの続投が決まったバッハ会長は、約100人のIOC委員に語り掛けた。総会が承認した15項目の改革案で、目玉の一つに掲げたのがデジタル化への対応だ。[br][br] コロナ禍で停滞したスポーツに新たな道を示したのがVSだった。2月には国際ボート連盟が世界室内選手権をバーチャル形式で開催。こぐ動きを陸上でも再現できる器具をオンラインでつなぎ、63カ国の千人近い選手が自宅やガレージ、ジムから参加した。[br][br] 自転車では世界最高峰のロードレース「ツール・ド・フランス」がバーチャルレースを企画し、国内でもeレースの全日本学生選手権が開催された。固定した自転車に専用器具を取り付け、坂ではペダルが重くなる。長野県内の周回コースのシミュレーション映像を用い、インターネットの実況中継も行われた。[br][br] ▽描けぬ青写真[br][br] IOCは当初、コンピューターゲームの腕前を競う「eスポーツ」の五輪実施検討に着手したが、スポーツとして扱うことへの異論や依存症という課題もあり、方向性を修正した。新指針でもVSは身体運動を伴うもので、「スーパーマリオ」など一般的なビデオゲームとは違うと強調した。[br][br] ただ、若者の間でのビデオゲーム人気はIOCも無視できない。コロナ禍でゲーム人口は3割増え、20年の市場規模は約17兆円に達するという。陸上で五輪元女王のイシンバエワ委員(ロシア)は悠長に構えている余裕はないとし、「(放置すれば)ビデオゲームは五輪運動の脅威になる。それを回避するには(手を組むための)良い条件を提示するか、可能であれば傘下に入れるしかない。早く行動しなければ機会を逸する」と訴えた。[br][br] VSを各競技の1種別に位置付ける見通しが示された以外、詳細は未定だ。「24年パリ五輪ではなく、おそらくは28年ロサンゼルス五輪の問題だ。私の後継者の課題になる」とバッハ会長。アイデアは斬新だが、青写真は描けていない。(ジュネーブ共同) 新型コロナウイルス禍で中止となったツール・ド・スイスの代替開催のバーチャルレースに自宅から参加するスイス選手=2020年4月22日、ナーテルス(ロイター=共同)