米国版「5ちゃんねる」急成長 問われる悪質投稿対策

 スマートフォン上に映し出されたレディットのロゴ(右)とウォールストリート・ベッツ(WSB)のロゴ(ロイター=共同)
 スマートフォン上に映し出されたレディットのロゴ(右)とウォールストリート・ベッツ(WSB)のロゴ(ロイター=共同)
会員制交流サイト(SNS)の米新興企業レディットが急成長している。個人投資家が共闘し、巨大ヘッジファンドを打ち負かしたゲーム販売店株急騰騒動の舞台となり、経済格差の拡大や社会の分断を映す象徴として存在感が高まった。ただ、陰謀論や偽情報など悪.....
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 会員制交流サイト(SNS)の米新興企業レディットが急成長している。個人投資家が共闘し、巨大ヘッジファンドを打ち負かしたゲーム販売店株急騰騒動の舞台となり、経済格差の拡大や社会の分断を映す象徴として存在感が高まった。ただ、陰謀論や偽情報など悪質な投稿も多く、対策が問われそうだ。[br][br] ▽人生一度きり[br][br] レディットは日本の「5ちゃんねる」に似たインターネット上の掲示板。サービス開始は2005年と、フェイスブックの1年後だ。日本語版も運営されている。 今回の騒動で一躍有名になったのが、個人投資家のコミュニティー「ウォールストリート・ベッツ(WSB)」。ゲーム販売店ゲームストップ株の買いをあおる投稿があふれ、株価下落に賭けて空売りを仕掛けたヘッジファンドを損失に追い込む原動力となった。[br][br] 投稿の合言葉は「YOLO(You only live once)」。人生は一度きりという意味の隠語だ。「社会不適合者」と自称するWSBの参加者は900万人を超えた。[br][br] ▽駆け込み寺[br][br] 新型コロナウイルスが大流行した20年春以降には、失業者のコミュニティー「アンエンプロイメント」に悲痛な訴えが殺到。失業手当の申請手順を説明する投稿などが相次いで寄せられた。州政府の窓口になかなか電話がつながらないなど混乱が続く中、米ニューヨーク・タイムズ紙は「駆け込み寺の役割を担った」と伝えた。[br][br] 株急騰騒動のさなかの21年2月、レディットは2億5千万ドル(約270億円)の資金調達に成功。企業価値は60億ドルと推計され、前回19年の調達時から倍増したという。[br][br] ▽削除7割増[br][br] レディットはコミュニティーを作った人が管理者になり、自主的に投稿を監視するのが基本だ。スティーブ・ハフマン最高経営責任者(CEO)は「悪質な投稿を排除する仕組みとして優れている」と胸を張る。書き込みは匿名でできるが、アカウント登録が必要だ。[br][br] 20年には約33億7千万件の投稿があり、このうち約2億3300万件が削除された。大半は営利目的などのスパム投稿だったが、誹謗(ひぼう)中傷や暴力的な内容もあった。19年と比べて投稿数が約2割増えたのに対し、削除した数は約7割増えた。[br][br] ただ、英NPOの反デジタルヘイトセンター(CCDH)によると現在、人種差別主義がはびこるコミュニティーが複数あるほか、新型コロナの偽情報流布が目的とみられるコミュニティーも人気になっている。CCDHのイムラン・アフメドCEOは「対策は進展しているが、まだ道半ばだ」と指摘した。(ニューヨーク共同) スマートフォン上に映し出されたレディットのロゴ(右)とウォールストリート・ベッツ(WSB)のロゴ(ロイター=共同)