天鐘(3月10日)

うなりを上げてバットをへし折る剛速球。鍛え上げた巨体をぶつけ合う立ち合い。目で追えないほどの激しいラリー。スピードはスポーツの魅力の一つ。野球、相撲、卓球、バドミントンと枚挙にいとまがない▼名は体を表すのがスピードスケート。機器や高低差を利.....
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 うなりを上げてバットをへし折る剛速球。鍛え上げた巨体をぶつけ合う立ち合い。目で追えないほどの激しいラリー。スピードはスポーツの魅力の一つ。野球、相撲、卓球、バドミントンと枚挙にいとまがない▼名は体を表すのがスピードスケート。機器や高低差を利用せず、人間の力で生み出すスピードを争う競技で最速とも。種目によっては時速60キロに達する。生身の体ながらも、車並みの速さで氷上を疾走する▼八戸市の屋内スケート場は日本3大リンクに数えられる。観客席に座っていても、氷を削り、風を切る音が伝わる。そんな氷都の象徴からうれしいニュース。さらなる飛躍を期待させる日本中学新記録が生まれた▼先の長根ファイナル競技会。男子1万メートルに登場した佐々木海地選手(白山台中3年)は、懸命に脚を動かしてラップを刻んだ。中学生の出場機会が少ない種目とはいえ、10年ぶりの更新、堂々の日本記録である▼今季は中長距離4種目で青森県中学記録を塗り替えた。表彰台を狙った全国中学大会が中止となった悔しさもぶつけた。成長を証明する滑り。ふるさとの声援と良質な氷が後押しになったとすれば、さらに誇らしい▼1年前の八戸国体のスローガンは〈銀盤に きたる新風 いま氷都(ここ)に〉。作者は佐々木選手である。挑戦は高校に進んでからも続く。飽くなき向上心、たゆまぬ努力。きっと新たな風になれる。