【震災10年】132億円の投資効果は… 八戸港市場機能集約事業終了へ

4月に開場予定の八戸市第2魚市場(通称・荷さばき所D棟)=5日、八戸市江陽4丁目
4月に開場予定の八戸市第2魚市場(通称・荷さばき所D棟)=5日、八戸市江陽4丁目
八戸港の市場機能集約と衛生管理の高度化を目指す「八戸地区水産流通基盤整備事業」(2007~20年度)は、2月下旬の市第2魚市場(通称・荷さばき所D棟)=市江陽4丁目=の完成をもって終了する。11年の東日本大震災を機にリスク分散の観点から集約.....
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 八戸港の市場機能集約と衛生管理の高度化を目指す「八戸地区水産流通基盤整備事業」(2007~20年度)は、2月下旬の市第2魚市場(通称・荷さばき所D棟)=市江陽4丁目=の完成をもって終了する。11年の東日本大震災を機にリスク分散の観点から集約方針を変更し、港内3カ所に市場が分散する体制は続く。一方、近年は不漁が深刻化するなど漁業を取り巻く環境は激変。総額132億円を投じた整備事業が“ハマ再生”につながるか見通しは不透明だ。[br][br] 市と青森県は当初、鮫、館鼻、小中野3地区にある市設魚市場を館鼻にまとめ、雨や鳥などから漁獲物を守ることができる閉鎖型の荷さばき施設A、B、C、Dの4棟を新設する予定だった。[br][br] しかし、11年の震災で魚市場も被災。館鼻では完成間近のA棟が損壊した。復旧工事の末、A棟は12年に完成した。[br][br] 津波の脅威をまざまざと見せつけられた八戸港。こうした状況の中、小中野地区の旧第2魚市場は被災から5日後、いち早く臨時開場した。湾口から陸側に入り込み、波の影響を受けにくい地形が幸いした。リスク分散の必要性を重視した水産関係者は16年、D棟の建設地を館鼻から小中野に変更した。[br][br] D棟について市は当初、18年度の完成を見込んでいたが、旧施設から検出された有害物質ポリ塩化ビフェニール(PCB)の除去や、土中の岩石や配水管といった障害物の撤去などの必要が生じ、再三にわたり工期は延長。今年2月下旬にようやく完成にこぎつけた。併せて、県の施工で岸壁の耐震化も実施した。[br][br] 荷さばき施設は主にA棟が巻き網船のサバ、B、C棟は中・小型船のイカ、D棟は沿岸漁業の多種多様な鮮魚や活魚と、漁法、魚種によって使い分けられる。市の担当者は今後について「高度衛生管理の態勢が整った。今後も水産業界の人たちと話し合いながら進めていきたい」と話す。[br][br] ただ、同港の水揚げはここ数年で激しく落ち込んでおり、20年は6万1170トンと、10年前の約半分に沈んだ。昨年6月には八戸みなと漁協が卸売業務から撤退するなど、水産業界全体の縮小傾向が顕在化。こうした状況下で、関係者からは、閉鎖型施設の4棟建設は過剰だったのではないかとの指摘も聞こえる。[br][br] D棟の運営を担う八戸魚市場は今後、4月初旬の開業に向け準備を加速させる考え。同市場の越後正幸取締役は作業効率を高めるため人員や資材の配置などを工夫する考えを示しながら、「一度(D棟を)使ってみないと分からない。だめなら再度考えてみる」と強調した。4月に開場予定の八戸市第2魚市場(通称・荷さばき所D棟)=5日、八戸市江陽4丁目