時評(3月9日)

ミャンマー情勢が緊迫の度を増している。 国軍のクーデターに抗議するデモが広がりを見せる中、治安部隊による銃撃で市民らに多数の死傷者が出た。国軍は流血事態を引き起こす蛮行を直ちにやめ、クーデターで奪った実権を文民政権に戻すとともに、拘束してい.....
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 ミャンマー情勢が緊迫の度を増している。[br] 国軍のクーデターに抗議するデモが広がりを見せる中、治安部隊による銃撃で市民らに多数の死傷者が出た。国軍は流血事態を引き起こす蛮行を直ちにやめ、クーデターで奪った実権を文民政権に戻すとともに、拘束しているアウン・サン・スー・チー氏らを全員解放すべきだ。[br] 国軍によるクーデターから1カ月余、市民らの抗議デモは高まりを見せている。国軍は強硬対応に出て、銃撃で市民らの死者は50人を超えた。国連児童基金(ユニセフ)によると子供5人も犠牲となり、500人以上が拘束されたという。ボランティアの救急隊員3人が治安部隊に殴打される映像も流れ、残虐な弾圧ぶりをうかがわせる。[br] ミャンマーでは、1988年の民主化運動に対しても国軍が弾圧し、千人超ともいわれる死者を出した。2007年に起きた軍事政権批判デモでも、取材中のカメラマン長井健司さんら少なくとも15人が死亡した。[br] 33年前を上回る市民らの抗議デモの高まりは、半世紀にわたり続いた軍政に苦しめられ、10年前にようやく民政移管して始まった民主化を守りたいとの強い思いを示している。[br] 国軍による暴挙をやめさせるためには、何よりも国連の役割が重要だ。[br] 国連安全保障理事会は、ミャンマー情勢を巡る5日の緊急会合で、一致した対応を打ち出せなかった。中国やロシアが慎重姿勢を見せたためだ。クーデター直後の安保理でも中ロの抵抗で非難決議に至らず、報道声明で「深い懸念」を表明するにとどまった。クーデターとも認定しなかった。[br] 英国は、国軍によるクーデターや平和的なデモ参加者への暴力の行使を「非難する」と明記した安保理議長案をまとめたという。中ロはこの議長案に応じるべきだ。とりわけミャンマー最大の貿易相手国、中国の対応が問われる。軍政時代にミャンマーでの利権を築いてきた中国は、その責任を自覚すべきだ。[br] 欧米はミャンマーへの制裁を強めている。「内政不干渉」を原則にしている東南アジア諸国連合(ASEAN)は、外相会議で「ミャンマー情勢への懸念」を表明し、これまでとは異なる対応を見せた。[br] 日本は政府開発援助(ODA)の停止検討や、国軍との独自のパイプを生かした働き掛けをするという。だが、これだけでは不十分だ。欧米などとも連携し、より厳しい圧力を加えていくべきだ。