【愛知リコール署名偽造問題】アピール先行、ずさんな運営

 2020年8月、愛知県知事リコールに向けた署名集めを開始し、県庁前で河村たかし名古屋市長(左)と気勢を上げる「高須クリニック」の高須克弥院長
 2020年8月、愛知県知事リコールに向けた署名集めを開始し、県庁前で河村たかし名古屋市長(左)と気勢を上げる「高須クリニック」の高須克弥院長
動員したアルバイトによる署名偽造疑いが明らかになった愛知県の大村秀章知事に対するリコール(解職請求)運動。有名人を集めて記者会見を開くなど派手なアピール活動の一方で、署名集めを担う「受任者」の資格を確認しないなどずさんな運営が行われていた。.....
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 動員したアルバイトによる署名偽造疑いが明らかになった愛知県の大村秀章知事に対するリコール(解職請求)運動。有名人を集めて記者会見を開くなど派手なアピール活動の一方で、署名集めを担う「受任者」の資格を確認しないなどずさんな運営が行われていた。関係者は「事務局内は、意に沿わない人を排除するような雰囲気で、組織として機能していなかった」と証言する。[br][br] 「国、県民にとって恥ずかしいことをする知事は支持できない」。昨年6月2日、美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長が会見し、リコール運動の開始を表明した。理由は、大村氏が実行委員会会長を務めた芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」への公金支出。昭和天皇の肖像を使った創作物を燃やす映像作品などを巡り抗議の電話やメールが殺到、一時中止に追い込まれた経緯がある。[br][br] 不自由展を巡って大村氏と対立した名古屋市の河村たかし市長が「応援団」に名乗りを上げ、大阪府の吉村洋文知事も賛意を示した。運動は知名度がある高須、河村両氏が前面に立ち、9月には作家の百田尚樹氏やタレントのデヴィ夫人が名古屋市で会見、街頭に立った。[br][br] 高須氏は運動組織として政治団体「100万人リコールの会」を設立。田中孝博元県議が事務局長を務め、山田豪常滑市議やボランティア約20人が在籍した。運動の主体となる「リコール請求代表者」には高須、田中両氏ら37人が登録。請求代表者が署名活動を委託する受任者は、はがきやインターネットを通じて募り、事務局によると約7万人が集まった。[br][br] ただ、受任者となるには署名集めをする自治体の選挙人名簿に登録されている必要があるが、事務局は「お互いを信じ合おうとの考えだった」(高須氏)として、その確認をしていなかった。愛知県選挙管理委員会の調査では提出された署名の中に選挙人名簿に登録されていない受任者が集めた署名が多数存在することが判明している。[br][br] 署名集めの現場もトラブルが相次いだ。複数の関係者によると、ボランティア登録をしても署名簿が届かなかったケースや地域の署名会場の運営がボランティアに丸投げされ人繰りに支障が生じた事例があった。[br][br] 受任者の男性(45)は「事務局に改善を訴えても、運動妨害やスパイなどのレッテルを貼られ、らちが明かなかった。本当にリコールを成立させようと思っていたか疑問だ」と話した。[br][br] 偽造疑惑の発覚後、誰が運動を主導したかについても食い違いが生じている。高須氏は「河村さんから『手伝ってくれ』と言われて、応援のつもりだった」と説明。河村氏は「高須さんがリコールをやる気になっていると聞いたので『応援する』と電話した」と主張した。 2020年8月、愛知県知事リコールに向けた署名集めを開始し、県庁前で河村たかし名古屋市長(左)と気勢を上げる「高須クリニック」の高須克弥院長