【緊急事態2週間程度延長へ】知事の声、首相追い込む

 1月、緊急事態宣言を発令するよう西村経済再生相(中央)に要請し、記者団の取材に応じる(左から)埼玉県の大野元裕知事、千葉県の森田健作知事、(1人おいて)東京都の小池百合子知事、神奈川県の黒岩祐治知事=東京都千代田区
 1月、緊急事態宣言を発令するよう西村経済再生相(中央)に要請し、記者団の取材に応じる(左から)埼玉県の大野元裕知事、千葉県の森田健作知事、(1人おいて)東京都の小池百合子知事、神奈川県の黒岩祐治知事=東京都千代田区
菅義偉首相は首都圏を対象にした新型コロナウイルスの緊急事態宣言について、2週間程度の再延長表明を余儀なくされた。7日の期限を前にした決断。解除への慎重姿勢を打ち出した小池百合子東京都知事らの機先を制する狙いだが、小池氏らの声に押され軌道修正.....
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 菅義偉首相は首都圏を対象にした新型コロナウイルスの緊急事態宣言について、2週間程度の再延長表明を余儀なくされた。7日の期限を前にした決断。解除への慎重姿勢を打ち出した小池百合子東京都知事らの機先を制する狙いだが、小池氏らの声に押され軌道修正に追い込まれた形だ。21日ごろとなる次の期限は人の移動が活発化する年度末と重なり、さらに難しい決断を迫られる。収束が見えない中、首相には難路が続く。[br][br] ▽警句 [br][br]「1都3県で緊迫しているところがある」。菅首相は3日夜、官邸で記者団に語った。これに先立つ参院予算委員会では、変異株のまん延への危機感を示した。[br][br] 経済重視の首相は、予定通りの7日の宣言解除が「大前提」(官邸筋)。ぎりぎりまで指標を見て決めると明言していた。それが一転した背景には、小池氏らの存在があった。[br][br] 「1カ月の延長幅は長い」。2日の官邸。首相は西村康稔経済再生担当相、田村憲久厚生労働相に向かい合うと、こうため息をついた。感染者数の減少鈍化や病床の逼迫(ひっぱく)を踏まえ、小池氏らが政府への再延長要請へ向けて動くとの情報が駆け巡り、対応を話し合うため急きょ集まった。[br][br] 協議では、あくまで解除すべきだとの強硬論も出された。再延長になれば、飲食店に絞った政権の対策が「甘かった」と批判されるとの懸念からだ。一方、小池氏の表明より先に決断しなければ、世論から後手批判を浴びるとの不安もあった。1カ月ではなく、2週間程度なら―。官邸として、ひそかに再延長を織り込んだ瞬間だった。与党からも「小池氏に主導権を握られていると思われるのは駄目だ」(ベテラン)との警句が首相の耳に届いていた。[br][br] 首相と小池氏には根深い確執がある。1月7日の宣言発令時に、小池氏主導による首都圏知事の「包囲網」で決断を迫られたのは「苦い記憶」(政府筋)だ。官邸内には「東京がしっかり感染対策をしていれば、宣言は避けられたはずだ」と、今も恨み節がくすぶる。[br][br] ▽嘆息[br][br] 3日夕、小池氏ら首都圏知事がオンライン会議を開催。関係者は「その情報を知った官邸内では、延長ムードが漂っていた。首相は諦めつつあった」と明かす。3日の東京の感染者数は300人を超えると発表。指標の下げ止まりに官邸内から嘆息が漏れ、首相や西村氏は官邸内での協議で、2週間程度の延長発表を最終決断した。[br][br] 自民党幹部は「小池氏より前に、いい判断をした」と強調するが、政権にはさらなる難関が待ち受ける。宣言の次の期限となる3月下旬以降は感染対策が難しい時期に差しかかるためだ。卒業や企業の転勤などで人の往来の増加は避けられず、宣言解除のタイミングを見いだせない苦境に陥る可能性も否定できない。[br][br] ▽安堵[br][br] 首相の意向表明を受けた4都県知事の反応には、それぞれの感染状況が反映されていた。[br][br] 感染状況が改善傾向にある神奈川県の黒岩祐治知事は記者団に「県内の指標はいい線まで来ていたが、解除に至らず大変残念だ」と語った。[br][br] 一方、埼玉県の大野元裕知事は「医療機関の負担を増やすわけにはいかない」と評価した。病床逼迫度が深刻になっている千葉県の森田健作知事は安堵(あんど)の声を漏らした。「一定期間(の延長)は必要だ。2週間も一つの目安かと思う」 1月、緊急事態宣言を発令するよう西村経済再生相(中央)に要請し、記者団の取材に応じる(左から)埼玉県の大野元裕知事、千葉県の森田健作知事、(1人おいて)東京都の小池百合子知事、神奈川県の黒岩祐治知事=東京都千代田区