2021年春闘の労使交渉は17日の集中回答日に向け、中盤を迎えた。電機大手は業績格差を背景に、20年春闘に続き各社で回答水準がばらつく可能性がある。業績が堅調な企業は労働組合の要求にできるだけ応える意向とみられる。自動車と重工は賃金水準を底上げするベースアップ(ベア)要求の非開示や見送りが相次ぎ、賃金水準を巡る議論は低調だ。[br][br] 電機各社は要求と回答をそろえる統一交渉を続けてきたが、20年春闘は各社で回答が異なる転換点となり、今春闘も流れが続くとみられる。電機各社の労組はベア月額2千円を統一要求している。関係者は「単純なベアではない要素が入ってくるのではないか」として、社によっては福利厚生に使えるポイントなどを含む回答を予想した。[br][br] 自動車の労組では新型コロナウイルス感染拡大による業績悪化で賃上げの期待感は乏しい。電気自動車(EV)の普及など「経営側と議論すべきことは例年になく多い」とする労組関係者もいる。トヨタ自動車は今春闘の第2回労使協議会を3日開き、職場の課題解決などを議論した。[br][br] 三菱重工業とIHI、川崎重工業の労組はベア要求を見送り、協議は盛り上がりを欠く。関係者は「交渉時間は例年より短い」と話す。自動車、重工のうちベアを求めなかった労組は年間一時金(ボーナス)の満額確保に注力する。[br][br] 日本航空最大の労働組合「JAL労働組合」はベア要求を見送った。年間一時金は20年春闘の要求と比べ半減の2・0カ月分を求めている。