「老犬ホーム」高まる需要

 老犬介護ホーム「アスル」でチョコ(手前)らの介護をする小野洋子代表=2月、福岡県古賀市
 老犬介護ホーム「アスル」でチョコ(手前)らの介護をする小野洋子代表=2月、福岡県古賀市
高齢や病気などで日常生活が難しくなった犬を、飼い主に代わって介護する有料の「老犬ホーム」のニーズが高まっている。ペットを飼う高齢者が増える中、飼い主が亡くなったり、「老々介護」で疲弊したりして行き場を失うペットも。ホーム運営者側は「ペットや.....
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 高齢や病気などで日常生活が難しくなった犬を、飼い主に代わって介護する有料の「老犬ホーム」のニーズが高まっている。ペットを飼う高齢者が増える中、飼い主が亡くなったり、「老々介護」で疲弊したりして行き場を失うペットも。ホーム運営者側は「ペットや自身の老後を考えた上で、飼う決断をしてほしい」と呼び掛ける。[br][br] 広い一軒家でのんびり暮らす、寝たきりや認知症の犬約10匹。「介護に疲れ、泣きながら助けを求めてくる飼い主さんもいます」。福岡県古賀市の老犬介護ホーム「アスル」の小野洋子代表(47)が打ち明ける。アスルでは介護度の高い老犬を中心に受け入れ、最期まで手厚くケアする。[br][br] 一時預かりしている柴犬のチョコは16歳。人間だと85歳ぐらいで、認知症を患っている。飼い主の60代夫婦は夫が闘病中で、妻が一人で面倒を見てきたという。チョコは歩行器を使ってなんとか起き上がることができる状態で、小野さんや仲間の犬が寄り添う。[br][br] 預かっている犬の多くは介助なしでは食事や排せつができず、夜通し鳴き続けることもある。数時間ごとのオムツ交換や投薬もあり、見守りは24時間体制だ。リハビリにも力を入れるが、みとりの瞬間が訪れることも。「常に最善のケアを目指し、志を持って命を預かっている。それでも『無料で預かってほしい』などと無責任な相談もある」と、小野さんは残念そうに話す。[br][br] 子供の独立や配偶者との死別などを機にペットを飼う高齢者は多く、後に世話ができなくなった犬や猫を預かる譲受飼養業が急増している。環境省によると、2013年には20施設だった登録件数は、20年4月時点で178施設と、9倍近くに膨れあがった。[br][br] 自宅での介護を支える取り組みも進む。愛知県あま市の「シニアドッグケアホームこころ」では長期の預かりに加え、体調が悪くて施設に通えないペットを訪問介護でサポートしている。寝たきりの大型犬の体位変換や散歩、獣医師の承諾を得た上で、手術後の投薬や消毒などにも対応する。[br][br] 京都市の「シニアペットケアステーション」は、飼い主の仕事中に介護が必要な犬を預かるデイサービスなどを提供。病院の診断書などを基にケアし、食事の与え方などを考える。[br][br] 一般社団法人「老犬ホーム協会」(熊本県菊池市)の緒方心代表理事(44)は「もしもの時に備え、日頃から相談先の確保や医療費の準備を進める必要がある」と強調。業界内のルールがまだ整っていないため、サービスの質に大きな差があるとして「預ける前に施設を見学し、介護方針などをしっかり確認してほしい」と訴える。 老犬介護ホーム「アスル」でチョコ(手前)らの介護をする小野洋子代表=2月、福岡県古賀市