天鐘(2月27日)

仲間との合唱に心を震わせる卒業式。恩師を囲む輪が幾重にも広がる離任式。隣り合わせた人の笑顔に安堵(あんど)する入学式。学生にとって春は大きな転機。喜びと悲しみ、期待と不安。さまざまな思いが交錯する▼振り返れば、あるべき感情を伴わず、別れと出.....
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 仲間との合唱に心を震わせる卒業式。恩師を囲む輪が幾重にも広がる離任式。隣り合わせた人の笑顔に安堵(あんど)する入学式。学生にとって春は大きな転機。喜びと悲しみ、期待と不安。さまざまな思いが交錯する▼振り返れば、あるべき感情を伴わず、別れと出会いが過ぎた春だった。コロナによる一斉休校の政治決断は拙速に過ぎた。思い出から色が失われた。混乱を招いた突然の要請から1年。いまだ霧は晴れない▼学校が止まる異常事態。世間もマスク、密、誹謗(ひぼう)中傷で異様に殺気立っている。体育祭、文化祭、修学旅行…。学校再開後も制約を強いられたまま。同じストレスでも、多感な子どもたちへの影響はより大きい▼2020年に自ら命を絶った小中高生は479人。前年の1・4倍と急増、過去最悪だった。コロナによる社会不安が影を落とす。学習機会の確保、感染防止の徹底のみならず、心のケアにも目配りが欠かせない▼1日の感染者が最大で8千人を超えた第3波もようやく下火に。首都圏を除く6府県の緊急事態宣言が解除される。最近は千人を下回る日も。だが、休校要請時は20人前後だった。やはり禍難は続いている▼ワクチンの接種が始まった。季節が巡り、うっすらと先が見えてきたような春ではある。子どもたちにとっての学校は、心置きなく青春を謳歌(おうか)できる場所であってほしい。取り戻したい。できるだけ早く。