【震災10年 復興の歩み】(5)階上町 歩道橋整備、避難路を確保

JR八戸線をまたぐように整備された大蛇さざ波歩道橋。避難経路が増え、迅速な移動が可能になった=階上町道仏
JR八戸線をまたぐように整備された大蛇さざ波歩道橋。避難経路が増え、迅速な移動が可能になった=階上町道仏
階上町では、大蛇地区に最大10・73メートル(佐々木幹夫八戸工業大名誉教授の調査による)の津波が襲来した。人的被害はなかったが、沿岸部を中心に住家や店舗など92棟が損壊。大蛇集会所が流出するなど公共施設にも被害が及んだ。小舟渡、大蛇、追越な.....
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 階上町では、大蛇地区に最大10・73メートル(佐々木幹夫八戸工業大名誉教授の調査による)の津波が襲来した。人的被害はなかったが、沿岸部を中心に住家や店舗など92棟が損壊。大蛇集会所が流出するなど公共施設にも被害が及んだ。小舟渡、大蛇、追越などの漁港では、漁業関連施設の浸水や漁船の流出が相次ぐなど、町の基幹産業にも大きな爪痕を残した。[br][br] 被害が大きかった大蛇地区の住民に、安全な避難経路を確保するため、町が復興交付金を活用して整備したのが「大蛇さざ波歩道橋」。沿岸地域から内陸部の高台へ避難する場合、町内を縦断するJR八戸線を越える必要があり、避難ルートが限られていたが、線路をまたぐように歩道橋が建てられたことで経路が増え、迅速な避難が可能になった。[br][br] 総事業費は2億1600万円で、2015年12月に完成。歩道橋は長さ28メートル、幅2・1メートル、高さ6・5メートル。ロードヒーティングで冬場の安全性も確保された。歩道橋につながる町道も拡幅されたほか、近くの大蛇駅周辺では駐車場と駐輪場が整備され、利便性も高まった。[br][br] 町道仏交流センターは、沿岸の駅前、榊両地区の集会所を集約した防災拠点施設として16年8月に完成した。道仏体育館を取り壊して建設され、延べ床面積は959平方メートル。発光ダイオード(LED)照明や発電機を備えている。[br][br] また、13年3月には、震災時に全壊した大蛇集会所から南東に約400メートル離れた海抜20メートルの高台に大蛇三地区集会所を整備。県が公表した津波浸水予測区域に近接するため、町は津波避難場所に指定していないが、災害時の新たな防災拠点となった。[br][br] 痛手を負った漁業振興にも取り組んだ。大蛇漁港近くに「はしかみハマの駅あるでぃ~ば」が18年5月にオープン。震災の被害を受けた沿岸部の活性化を目的に建設され、新鮮な海の幸や土産品などが並ぶ。今月20日には来場者が70万人を突破するなど、ハマの魅力を発信する場として存在感を発揮している。[br][br] 町総務課行政防災グループの野沢一臣主査は「今後は避難訓練や情報発信に力を入れていく」と強調。震災を風化させず、防災意識の啓発に尽力する構えだ。JR八戸線をまたぐように整備された大蛇さざ波歩道橋。避難経路が増え、迅速な移動が可能になった=階上町道仏