天鐘(2月19日)

匠(たくみ)の技、郷土芸能、老舗…。志を絆とし、師匠から弟子へ、親から子へと継承されてきた。橋本聖子氏は覚悟の緊急登板。政治の師・父と仰ぐ元首相の後を継ぐ。その前途は多難。表情に悲壮な使命感がにじむ▼夏冬合わせて7度の出場を誇る五輪の申し子.....
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 匠(たくみ)の技、郷土芸能、老舗…。志を絆とし、師匠から弟子へ、親から子へと継承されてきた。橋本聖子氏は覚悟の緊急登板。政治の師・父と仰ぐ元首相の後を継ぐ。その前途は多難。表情に悲壮な使命感がにじむ▼夏冬合わせて7度の出場を誇る五輪の申し子、参院当選5回で閣僚を経験、母親としても活躍する女性。国内外の理解を得て混迷に終止符を打つ。あえて担がれたみこしに乗り、東京五輪の“顔”になった▼世界を覆うコロナ禍、加えて世界の反発を買った舌禍。1年ほど前まで確かにあった高揚感は失われた。復興五輪の理念が影を潜めた。聖火リレーの中止検討の動きも。そして開催の可否は。かじ取りが難しい▼前会長の院政を懸念し、新会長のスキャンダルを問題視する向きもある。逆風の中で火中の栗を拾った。開幕が5カ月後に迫った状況での仕切り直しである。回り道を教訓とし、難局に向き合わねばなるまい▼国民、選手、聖火ランナー、支援企業に発信したメッセージは真摯(しんし)だった。早期の女性比率引き上げなど、組織改革と信頼回復の決意に熱がこもった。就任会見に、座右の銘「細心大胆」の一端を見た気がする▼東京五輪に沸いた1964年に生まれた。高い目標を掲げ、心技体を磨き、数々の偉業を成し遂げてきた元オリンピアン。立場を変えて前例のない五輪に挑む。いきなりの正念場。残された時間は少ない。