天鐘(2月18日)

小雪がちらつく初冬の候に詠んだのだろうか。〈「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ〉。ご存じ、歌人・俵万智さんのよく知られた一首である▼身も心も凍えそうなときに「寒いね」とつぶやいてみる。同じように返してくれる人が隣に.....
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 小雪がちらつく初冬の候に詠んだのだろうか。〈「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ〉。ご存じ、歌人・俵万智さんのよく知られた一首である▼身も心も凍えそうなときに「寒いね」とつぶやいてみる。同じように返してくれる人が隣にいる。当たり前のようでも、ほんわかと心が温まり、幸せを感じる。つらいのは自分だけではないと思える瞬間でもあろう▼語り合うにも、相手がいない。東京の1世帯当たりの平均人数が2人を割り、1・99人となったのは10年ほど前。独り暮らしが増え、隣の人の「あたたかさ」が遠くなる。そんな寂しい現実を思ったものだ▼今また、コロナ下での「孤独」がクローズアップされている。人との接触を減らせば、会話もなくなる。職を失い、経済的に苦しむ人も。うつになり、自殺する女性や子供が急増しているとの報告には胸を突かれる▼問題解消への力となるか。新設された、国の「孤独・孤立問題」担当相である。兼務する1億総活躍担当相は「人と人のつながりを守る活動を推進していきたい」。「自助」を強調する政権の施策やいかに▼「孤独は1日15本のたばこと同等の害を健康に与える」。3年前、世界で初めて孤独相を置いた英国での分析だ。昨日からわが国でワクチン接種が始まった。体にだけでなく、心をほんわかと温めてくれるワクチンも不可欠である。