13日深夜、宮城、福島両県を最大震度6強の揺れが襲った。東日本大震災から間もなく10年。当時の記憶がよみがえる。「同じくらいの揺れだ」「いつ収まるのか」。津波を心配し、避難する住民も相次いだ。東日本の広範囲での停電も発生。またも強い揺れに見舞われた住民は、声を震わせ、眠れぬ夜を過ごした。[br] 地震発生時に仙台市青葉区のコンビニで働いていた男性従業員は「ゴゴゴという地響きがして、東日本大震災と同じぐらいのものすごい揺れだった。怖かった」と表情をこわばらせた。店内には客が1人。一緒に外に避難してけがはなかったが、陳列棚から落ちた酒瓶が割れた。[br] 宮城県石巻市の高台には、津波を心配して車で避難する住民が相次いだ。東日本大震災で自宅が全壊した主婦(50)は「突き上げるような揺れが2回ほど来た。これは10年前のように危ないなと思い、夫や娘と家財道具を車に積んで避難した。しばらくここで様子を見たい」と不安をあらわにした。男性会社員(50)も高台に避難。「津波の心配はないと言われても信じられない。10年前、苦い目にあったから教訓として逃げた」[br] 福島県南相馬市の「双葉屋旅館」では強い横揺れが数分間続き、食堂の棚が開いて食器が散乱した。おかみの小林友子さん(68)は「今回の方が最初の揺れは強烈だった。いつ収まるのかと思った」と落ち着かない様子。自宅2階で寝ていた福島県いわき市の女性公務員(46)も、10年前が頭によぎった。「思い出して怖かった。子どもたちをすぐに見に行った」 栃木県上三川町は町内約1万2千世帯のうち、9千世帯が停電。揺れが収まった後、車で役場に駆け付けたという総務課の担当者は「途中の信号が全て消えていて、庁舎の周りも真っ暗。町内の広範囲が停電になるのはあの震災以降では記憶にない」と話した。[br] 宮城県塩釜市の吉田万里子さん(76)は、寝付いた直後に強い揺れに見舞われ、立てかけていたテーブルが体に倒れかかってきた。「余震も怖い。1人暮らしでどうすればいいのか」と頭を抱えた。[br] JR福島駅の東口改札付近では、在来線が止まっており、駅員が乗客の対応に追われていた。