訪問診療ニーズ高く 付属診療所の実績順調、当初目標の2倍に/十和田市立中央病院

訪問診療を行う水野隆史所長(右)=3日、十和田市
訪問診療を行う水野隆史所長(右)=3日、十和田市
十和田市立中央病院(丹野弘晃事業管理者)が2019年10月に開設した、在宅診療専門の同病院付属とわだ診療所の実績が順調に伸びている。開設から1年4カ月が経過し、1カ月の訪問診療件数は、当初の目標の倍となる100件を超える。自宅での「みとり」.....
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 十和田市立中央病院(丹野弘晃事業管理者)が2019年10月に開設した、在宅診療専門の同病院付属とわだ診療所の実績が順調に伸びている。開設から1年4カ月が経過し、1カ月の訪問診療件数は、当初の目標の倍となる100件を超える。自宅での「みとり」を望む患者や家族の需要が中心で、病院側も増加するニーズに応えるため、診療体制の充実に努める考えだ。[br][br] 寝たきりなどで通院が難しい患者に対して行う在宅診療は、近年、患者の高齢化に伴い、重要性が増している。一方、市内には専門の医療機関がなく、青森県内の自治体病院では珍しい取り組みとして、同病院のさわらび会館内に設置された。[br][br] 今月3日、診療所の水野隆史所長は、担当する市内の外山ハルヱさん(98)方を訪れた。以前は月1回、同病院に通院していたが、車の乗り降りが難しくなり、診療所の開設を機に在宅診療に切り替えた一人だ。[br][br] 外山さんは、月1回の水野所長の診療を心待ちにしているという。義理の娘の京子さん(70)は「通院は家族にも負担があった。本人も施設や病院に行きたくないと言っているし、慣れ親しんだ自宅で最期を迎えたい」と話した。[br][br] 本人が望む療養や最期を迎えるため、今後も需要が増える見込みの在宅診療。水野所長は「昔は自宅でのみとりが一般的で、その時代を知る高齢者は、それを希望する傾向にあるかもしれない」と推し量った。[br][br] 診療所は当初、1カ月当たりの訪問目標を50件に設定していたが、開設6カ月目には目標を超えた。その後も増え続け、昨年12月に100件、今年1月には117件(速報値)に上った。また、昨年12月末までのみとりは計70件あった。[br][br] 同病院の地域医療連携室によると、同市は介護施設のベッド数が多く、「終末期は施設で」という風潮があったが、診療所によって在宅でのみとりの選択肢ができ、利用者の増加につながっていると分析する。[br][br] 現在は週2日(1日は午前中のみ)の開設で、担当する医師は水野所長と丹野管理者。必要に応じて、開設日以外にも出向く回数も増えている。[br][br] 丹野管理者によると、今後、開設日を増やすことも視野に入れているほか、新型コロナウイルスが収束すれば、本来、東京都から毎週訪れる予定だった医師も加わるようになり、より診療体制の充実が図られるという。[br][br] 青森県地域医療構想では、同病院の役割に在宅医療の提供も掲げている。診療所の開設以降は、開業医から患者を紹介されるケースもある。[br][br] 丹野管理者は「地域のニーズは想定以上だった。多忙で訪問診療する余裕がない、かかりつけ医をカバーできることもメリットになっている」と開設の意義を強調する。訪問診療を行う水野隆史所長(右)=3日、十和田市