県立学校で新型コロナウイルス感染者が発生した場合の情報公開について、東北6県で対応が分かれている。青森県は児童生徒の感染者は性別を非公表とし、学校名は高校でクラスター(感染者集団)が発生しても明らかにしなかった。一方、宮城県は感染者を確認した場合に学校名を公表。学校の種別を明らかにする県がある中、公開する情報量は青森県が最も少ない。青森県教委は「学校や子どもへの中傷や差別につながる恐れがある」と理由を説明するが、学校名の公表を求める意見もあり、難しい対応を迫られている。[br][br] 4日現在、東北6県のうち県立学校でクラスターが発生したのは青森と宮城の2県のみ。[br][br] 青森県では、弘前保健所管内1件と青森市2件で発生。弘前管内の場合は「県立高校」と公表したが、同市の場合は「高校」のみで、公私立の別は明らかにしなかった。[br][br] 一方の宮城県は、クラスター発生の有無に関わらず、県立学校の児童生徒や教職員の感染が判明した際に学校名を公表している。宮城県教委は「学校は児童生徒や教職員だけでなく事業者や部活動関係者も出入りしており、感染が拡大する可能性がある」と説明。病気などの事情で登校していない児童生徒が感染した場合は校名を公表していないという。[br][br] ほかの4県をみると、岩手は年代、性別、居住地を公表。県立学校で感染者が発生した場合、「県立学校の児童生徒」などとしている。数が少ない県立中学校、特別支援学校で学校や個人が特定される恐れがあるとして、学校の種別は公表していない。[br][br] 山形は性別、学校の種別や所在地域、居住地。秋田は年代や性別、学校の種別、居住地。福島は年代や性別、居住地。いずれも、子どもたちの個人情報の保護、誹謗(ひぼう)中傷の防止に配慮して対応しているという。[br][br] 福島県教委は学校で感染が広がったと考えられる場合は学校名の公表も視野に入れている。担当者は「高校生は行動、通学範囲が広いため、社会的不安があることも考えられる」としながらも、「生徒を追い詰めてはいけない。状況を総合的に見て判断することになる」としている。[br][br] ただ、行政が感染者の詳細を明らかにしなくても、地域住民の間では学校名が知れ渡り、会員制交流サイト(SNS)上で誤ったうわさが流れたりする場合もある。1月の青森県議会常任委員会では、複数の議員から「公表した方が探る動きがなくなる」などの意見が出た。[br][br] 県教委スポーツ健康課の谷地村克久課長は「感染経路が分かっているので、接触者にいつでも連絡が取れる。誰が利用したか分からない施設とは違う」と理解を求める。今後については「情報をどこまで公表するか、基準などを整理している」と述べた。