リンゴや桜の剪定枝を和紙に 弘前大などが研究、三菱製紙八戸工場で加工

リンゴの剪定枝から作った和紙を持つ、弘前大の廣瀬孝講師(右)と八島光勇さん=2020年12月、弘前市
リンゴの剪定枝から作った和紙を持つ、弘前大の廣瀬孝講師(右)と八島光勇さん=2020年12月、弘前市
青森県が生産量日本一のリンゴと弘前公園が国内有数の名所として知られる桜。その木から切り落とされた枝を和紙として再利用するプロジェクトに、弘前大などでつくる研究会が取り組んでいる。2020年11月には、弘前市の園地から集めたリンゴの剪定枝(せ.....
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 青森県が生産量日本一のリンゴと弘前公園が国内有数の名所として知られる桜。その木から切り落とされた枝を和紙として再利用するプロジェクトに、弘前大などでつくる研究会が取り組んでいる。2020年11月には、弘前市の園地から集めたリンゴの剪定枝(せんていし)を三菱製紙八戸工場で加工し、和紙を作ることに成功した。将来的に絵はがきや県産品のラベルなどとして商品化することを目指し、改良を進めている。[br][br] 研究会は、リサイクル工学や木材加工を専門とする弘前大教育学部の廣瀬孝講師ら同大関係者のほか、印刷会社などの民間企業で構成する。[br][br] 大学によると、リンゴや桜の剪定枝のうち、バイオマス発電や炭の原料として使用できない細い枝は廃棄されている。リンゴの剪定枝は県内で年間約15万トン発生し、うち約4・5トンは野焼きされているという。[br][br] 県内には和紙の産地がない。研究会は剪定枝を再利用することで、“ご当地和紙”という新たな観光資源の確立も目指している。[br][br] 和紙の原材料には樹木「コウゾ」などが使われる。長く柔らかい繊維を確保しやすいためだ。硬い節が多いリンゴの枝は不向きだが、試作のために昨秋、三菱製紙八戸工場に依頼し、枝を柔らかい繊維「パルプ」に加工してもらった。[br][br] その繊維を使って、学生らが手すきで和紙作りに挑戦した。県内ではこれまでリンゴの残りかすを紙に再利用する例はあったが、枝を原材料に和紙を作るのは初めてだった。[br][br] 研究会のメンバーで、同大研究・イノベーション推進機構の山科則之特任助教(48)は「木材からも和紙ができることが分かった。応用すればいろいろな“ご当地和紙”を作れるのでは」と期待を寄せる。[br][br] 今後は金魚ねぷたなどの工芸品にも使用できるよう厚さや色を改良するほか、3月ごろには弘前公園の桜の剪定枝を使った和紙も作る予定だ。[br][br] 試作に携わった同大2年の八島光勇さん(20)は「農家の方から、剪定枝を集めて捨てるのは大変な作業だと聞いた。少しでも役に立てたら」と話している。リンゴの剪定枝から作った和紙を持つ、弘前大の廣瀬孝講師(右)と八島光勇さん=2020年12月、弘前市