時評(2月7日)

1月の十和田市長選で4選を果たした小山田久市長(74)の新たな任期がスタートした。 旧市時代を含め、通算6期務めたケースはあるが、連続4期は初めて。安定感や堅実さが評価された結果だろう。まず、目の前にあるのは新型コロナウイルス対策だが、長期.....
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 1月の十和田市長選で4選を果たした小山田久市長(74)の新たな任期がスタートした。[br][br] 旧市時代を含め、通算6期務めたケースはあるが、連続4期は初めて。安定感や堅実さが評価された結果だろう。まず、目の前にあるのは新型コロナウイルス対策だが、長期市政の総仕上げとして、地域が抱える課題の解決へ、積極的な施策の展開と着実な成果を期待したい。[br][br] 自身が現職と新人を破って初当選した2009年以来、12年ぶりの選挙戦だった。それにも関わらず、市民の関心は高まらなかった。[br][br] 09年は保守勢力が相まみえる三つどもえ。構図の違いに加え、新型コロナ下という特殊事情があったとはいえ、投票率は前回を31・54ポイント下回る34・78%。過去最低にとどまった。[br][br] 結果は小山田氏の圧勝で、得票(1万3918票)は投票総数の約8割に当たる。反面、有権者が5万1588人いることを踏まえれば、積極的な支持は3割にも満たなかったとも言える。[br][br] 09年の選挙戦では、小山田氏が4選を目指した現職を多選批判した経緯がある。当人の4選出馬を疑問視する声や、「3回連続で選ぶ余地がない」といった不満が一部で聞かれたのも事実である。[br][br] 投票率の低さを考えると、圧倒的な得票による4選も、もろ手を挙げて信任されたとは言い難い。「市民の声を聞き共に取り組む」を市政運営の信条とする小山田氏には、棄権した3万人超の存在を忘れず、真摯な姿勢を貫いてほしい。[br][br] 12年間の小山田市政は、財政基盤の安定化に努め、公共施設の再整備、十和田市版DMO(観光地域づくり推進法人)十和田奥入瀬観光機構の設立など、実績を積み重ねてきた。[br][br] 直近では、十和田食肉センターの事業を伊藤ハム子会社に引き継ぐ方針を発表。当地域への加工大手の進出を10年越しに実らせたもので、今後の畜産振興を支える好材料になるだろう。[br][br] 一方、全国的な課題ではあるが、人口減少や少子高齢化に新型コロナが追い打ちをかけ、現状や先行きへの閉塞感は増している。また、中心市街地の活性化や市立中央病院の経営安定化は、行政だけでは解決できない高いハードルだ。[br][br] 小山田氏はこれまでの実績を基に、「未来に向けて着実に」を公約の基本理念に掲げた。道半ばの課題を打開する一手を打ち出し、明るい未来を開けるか。4期目はこれまで以上の大きな成果が求められる。